ケネリー(英語表記)Arthur Edwin Kennelly

改訂新版 世界大百科事典 「ケネリー」の意味・わかりやすい解説

ケネリー
Arthur Edwin Kennelly
生没年:1861-1939

電気工学者で,通信伝送,交流理論を研究した。インドボンベイに生まれ,ヨーロッパ各地で学んだ。14歳のときにイギリス電信技術者協会Society of Telegraph Engineers(現,イギリス電気学会Institution of Electrical Engineers)の書記補となり,次いで電信技術者として働いた。1887年にアメリカに移り,エジソン助手をつとめた。1906年にアメリカに帰化した。ハーバード大学マサチューセッツ工科大学の電気工学・電気通信学の教授をつとめた。1893年にインピーダンスについて論じ,交流理論の確立に貢献した。彼はまた1902年に電離層の存在を予想したことでも知られ,ケネリー=ヘビサイド層に名を残している。ケネリーはMKS単位系の導入,電気用語の標準化にも努力した。電気工学自体の研究のほかに電気の学会,教育,標準化にかかわった彼は,電気工学の完成者の一人ということができよう。
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百科事典マイペディア 「ケネリー」の意味・わかりやすい解説

ケネリー

米国の電気技術者。インドのボンベイ(ムンバイ)に生まれ,英国で電信関係の研究をした後,1887年渡米してエジソンの助手になり,1902年ハーバード大学教授。同年ヘビサイドとは別に独自に電離層(ケネリー・ヘビサイド層)を発見
→関連項目アップルトン

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ケネリー」の意味・わかりやすい解説

ケネリー
Kennelly, Arthur Edwin

[生]1861.12.17. コーラバ
[没]1939.6.18. ボストン
インド生れのイギリス人で後にアメリカに帰化した電気技師。ロンドンで電気技師として海底電線布設事業などに従事したのち,26歳のときアメリカに渡り,エジソンの助手となり (1887) ,その後ハーバード大学教授。交流回路分析に複素数理論を応用し,電気学の発展に貢献したほか,1902年に大気上空中の電離層が電磁波を反射することを O.ヘビサイドとは独立して発見した。

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世界大百科事典(旧版)内のケネリーの言及

【電離圏】より

…しばしば慣例により電離層の語を電離圏と同義に用いることがある。 電離層の存在が示唆されたのは,1902年ケネリーA.E.KennellyとヘビサイドO.Heavisideによってである。1901年G.マルコーニが大西洋を隔てて無線電信用の電波を受信することに成功したことが契機となり,そのときの電波の伝わり方を説明するため,彼らは地球の上層大気中に電波を反射する電気伝導層,すなわち電離層が太陽の紫外線により生成されているという説を立てた。…

※「ケネリー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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