(読み)け

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ケ」の意味・わかりやすい解説


民俗文化の日常的な面を説明する概念として、柳田国男(やなぎたくにお)によって唱えられ、以後、日本文化の構造を解釈する際の有効な手段として人文科学の諸分野で使われるようになっている。ケは漢字の表記では、褻、毛、気の3通りがある。褻は、衣・食・住にわたる生活文化に具体的に表れており、ごく普通の日常生活を示している。毛は、植物生育にかかわる語であり、とくに稲作の生育を支える稲魂(いなだま)の力と関連づけられている。気は、人間の生命力と関連する語である。ケは以上のような多面的な文化の総体と考えられている。そしてケの維持ができなくなると、ハレという形の儀礼が形成されることになり、ケとハレはともに民俗文化を構成する主要素と考えられている。

[宮田 登]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

山川 日本史小辞典 改訂新版 「ケ」の解説

褻・毛・気などの漢字をあてる。ハレと対比される語で,民俗学上,日常生活文化を分析する概念として定立している。祭や年中行事冠婚葬祭など,特別な時間すなわちハレをのぞいたごくふつうの毎日の暮しをいう。「ふだん」ともいい,普段着を着て,普段の食事をして,仕事に励む。褻の字は,晴着を脱いでいる状態を表し,毛は稲の成育状態をさす。また気は人間の生命力と関係する語である。したがってケには,人間のごくふつうの日常生活を支えているエネルギーの存在を予測させる。ケが順調にいかない状態に対して,ケガレ(気枯れ)の意味を与え,ケがケガレになるという説明原理も成立している。

出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「ケ」の意味・わかりやすい解説

ケ(褻) (け)

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