ゲリラ・コマンド対処(読み)げりらこまんどたいしょ(英語表記)Counter Guerilla Commando Operations

知恵蔵 「ゲリラ・コマンド対処」の解説

ゲリラ・コマンド対処

韓国に対して北朝鮮側の潜水艦などによる特殊部隊侵入が起き、日本沿岸でも不審船が出没したため、「もし朝鮮半島戦乱になれば、北朝鮮の特殊部隊が日本でも在日米軍基地や原子力発電所などを襲う可能性がある」との論が高まり、それに備えた有事法制や部隊を設けるべきかなど、防衛庁で検討が進められている。だが、自衛隊・軍隊ははっきり敵と分かる集団に火力を集中して撃破するのが本領で、一般人に紛れ込む敵や犯罪者を発見するには、警察官の方が慣れている。特殊部隊は私服や相手国の軍隊の制服を着て潜入少数で行動するのが普通で、こうした者に対処するには自衛隊員が民間人に職務質問をしたり、所持品検査をするなど、不慣れな警察官的な対応をせざるを得ない。また原子力発電所だけなら物理的には守れても、総延長2000km以上もある新幹線や、全国に点在する化学工場、ガス・石油タンク、諸官庁、基地などを警備するのは不可能に近い。一方、拳銃しか持たない一般の警察官だけでは特殊部隊に対抗できないことも確かで、難しいテーマだ。

(田岡俊次 軍事ジャーナリスト / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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