コウガイゼキショウ(英語表記)Juncus leschenaultii Gay

改訂新版 世界大百科事典 「コウガイゼキショウ」の意味・わかりやすい解説

コウガイゼキショウ
Juncus leschenaultii Gay

田のあぜなどの湿地に普通にみられるイグサ科の雑草的多年草。日本全土にみられ,さらに中国,ヒマラヤインドに分布する。茎は叢生(そうせい)し,扁平で高さ20~40cm。葉はアヤメの葉のように中肋から折りたたまれて扁平である。花期は夏~秋。花は集まって頭花を形成し,集散花序に配列する。花被片は披針形緑色,辺縁部は膜質でやや透明である。おしべは3本,子房は3室。果実蒴果(さくか)で長さ約4mm,先はやや急にとがる。花序がむかご化して,無性繁殖を行うことがある。イグサ属Juncusの中でもコウガイゼキショウ類は変異が多く分類がむずかしい。日本には十数種があり,高山性の珍しい種もある。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「コウガイゼキショウ」の意味・わかりやすい解説

コウガイゼキショウ
こうがいぜきしょう / 笄石菖
[学] Juncus prismatocarpus subsp. leschenaultii Kirschner
Juncus leschenaultii Gay

イグサ科(APG分類:イグサ科)の多年草。茎は叢生(そうせい)し、高さ30~40センチメートル、扁平(へんぺい)で両縁に翼がある。葉は3、4枚、茎の下部に集まり、線形、幅2~3ミリメートル、多管質で隔壁がみえる。集散状の花序をつけ、包葉は花序よりはるかに短い。花は数個ずつ集まって小さな頭花をつくる。花被片(かひへん)は6枚、線状披針(ひしん)形で長さ4~5ミリメートル、雄しべは3本で花被片の半分の長さより短い。蒴果(さくか)は花被と同長またはやや長めで光沢がある。水田山間の湿地に普通に生え、日本全土のほか、シベリアからインドまでアジア東部に広く分布する。名は、葉の形を笄(こうがい)に見立てたもの。

[清水建美 2019年7月19日]


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