コウヨウチョウ(読み)こうようちょう(英語表記)red-billed quelea

改訂新版 世界大百科事典 「コウヨウチョウ」の意味・わかりやすい解説

コウヨウチョウ (紅葉鳥)
red-billed quelea
black-faced dioch
Quelea quelea

スズメハタオリドリ科の鳥。全長約11cm,スズメよりひと回り小さい。雌雄異色。雄の生殖羽は頭頂から後頸(こうけい)までオレンジ色がかった黄色で,顔,のどが黒く,背面は褐色に黒い縞がある。くちばしは赤い。雄の非生殖羽と雌は顔とのどが黒くなく,頭部は灰色で眉とのどは白っぽい。サハラ砂漠以南のアフリカに分布し,サバンナにすむ。種子穀物を食べ,実りの時期に大群で現れ,農作物に大害を与える。ときには100万羽もの大群が畑を襲う。人里はるか離れた有刺性のやぶや,草原,ヨシ原などに大集団で繁殖する。1夫多妻で,雄は低木に袋状の巣の外側をつくって雌を呼び寄せる。雌が内ばりをして,1腹2~4個の卵を産むと,雄は次の巣づくりにかかる。非繁殖期はヨシ原に集団で眠る。姿の美しさと行動のおもしろさで,ときに飼鳥として輸入される。禽舎きんしや)に庭木を植えて飼うと巣をつくり雛を育てる。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「コウヨウチョウ」の意味・わかりやすい解説

コウヨウチョウ
こうようちょう / 紅葉鳥
red-billed quelea
[学] Quelea quelea

鳥綱スズメ目ハタオリドリ科の鳥。同科コウヨウチョウ属3種中の1種。全長約12センチメートルの小さなハタオリドリ(機織鳥)で、繁殖期の雄は額、顔、のどが黒色。頭胸部は桃紅色を帯び、嘴(くちばし)も足も桃紅色の美しい鳥である。アフリカのセネガル、北西スーダン、ソマリア以南に広く分布する。主として草本の種子、漿果(しょうか)を食べるが、昆虫、クモなどもとる。生息地による色彩の変化が多く、額、顔、のどが黄色で、頭胸部が桃色の亜種ウスガオコウヨウチョウなどもあり、また季節による色彩の変化もあるので楽しめる。この属にはほかにムネアカコウヨウチョウQ. cardinalis、ズアカコウヨウチョウQ. erythropsなどの種がある。日本には飼い鳥として輸入されるが多くはない。

[坂根 干]

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