コシアカツバメ(英語表記)Cecropis daurica; red-rumped swallow

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「コシアカツバメ」の意味・わかりやすい解説

コシアカツバメ
Cecropis daurica; red-rumped swallow

スズメ目ツバメ科。腰が赤褐色で,尾羽が長く,深く切れ込んだ燕尾形をしている。全長約 19cm。頭上,背,,尾は黒紺色。眼の後ろから後頸にかけては赤褐色。喉,頸,胸腹部は淡黄褐色の地に黒褐色の細かい縦斑があるが,この斑が不明瞭な亜種もいる。分布は複雑で,北アフリカ西部,ヨーロッパ南部から中央アジアを経て東アジア中国東部にかけての地域では夏鳥(→渡り鳥)である。ミャンマーから東南アジアアフリカ中部では留鳥冬鳥もおり,インドオーストラリア北部では冬鳥である。日本では夏鳥で 3月下旬に渡来し,九州地方以北で繁殖する。市街地や農耕地,河川敷などで観察される。ツバメよりやや上空で活動し,飛びながら昆虫を採食する。巣は,ツバメと同じように軒下やビルの張り出し,橋桁の裏などに泥と草を混ぜてつくるが,形は異なり,上が解放しておらず,大きな徳利を縦に割って伏せたような,出入口がトンネル状の巣をつくる。

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改訂新版 世界大百科事典 「コシアカツバメ」の意味・わかりやすい解説

コシアカツバメ (腰赤燕)
red-rumped swallow
Hirundo daurica

スズメ目ツバメ科の鳥。腰の赤さび色が目だつのでこの名がある。ユーラシア南部とアフリカ中部の温帯から熱帯で繁殖,温帯のものは熱帯地方で越冬する。日本では3月下旬~4月下旬に渡来,9月上旬~11月下旬に渡去する夏鳥で,北海道まで分布するが,本州中部以北では少ない。首都圏での繁殖域は多摩川下流域付近までで,都区内ではほとんど繁殖していない。静岡県天竜市,熊本県人吉市などでは少数が越冬している。生息環境はツバメに類似するが,飛行高度はツバメより高く,イワツバメよりは低い。全長約18cm,ツバメよりやや大きく,上面は青色光沢ある黒色で,眼の後方と腰が褐色縦斑のある赤さび色,下面は淡褐色で顕著な黒褐色縦縞がある。体型はツバメに似て,長く深い燕尾をもつ。集団で営巣することが多く,小さい入口のある半とくり形の泥の巣を天井などの下につくる。そのため,トックリツバメの名がある。ジュリーッと濁った声で鳴く。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「コシアカツバメ」の意味・わかりやすい解説

コシアカツバメ
こしあかつばめ / 腰赤燕
red-rumped swallow
[学] Hirundo daurica

鳥綱スズメ目ツバメ科の鳥。同科ツバメ属に含まれ、全長約18.5センチメートル。頭上、後頸(こうけい)、翼、肩羽は光沢ある藍(らん)黒色、下面は淡褐色で黒褐色の小縦斑(じゅうはん)が密に並ぶ。外側の尾羽が長く、深い燕尾(えんび)状をなす。腰の橙(とう)褐色はこの種の最大の特徴である。4月に渡来する夏鳥で、西日本の各地に普通にみられる。

[坂根 干]

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