コッセル(Walter Kossel)(読み)こっせる(英語表記)Walter Kossel

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

コッセル(Walter Kossel)
こっせる
Walter Kossel
(1888―1956)

ドイツの物理学者。1911年ハイデルベルク大学で学位を取得したのち、ミュンヘン大学でゾンマーフェルトに触れ、ボーアの理論によってX線放出のメカニズム解明着手、この研究で、原子内の電子の配列を究明した彼は、1916年の論文で原子結合のメカニズムを述べた。あらゆる原子は、ヘリウムネオンアルゴンなどの安定な希ガス原子と同様の電子配列をもつ傾向があり、電子を失ったり得たりすることによって最外殻が8個の電子配置をとり、正負イオンの電気的結合が可能になると考えたが、共有結合については指摘することはできず、ルイスがそれを行った。1921年キール大学教授、1932年ダンツィヒ大学教授、その間X線結晶学の研究を続け、1944年ドイツ物理学協会よりマックス・プランク・メダルを受け、1947年チュービンゲン大学教授となった。気体中の電気放電、固体物理、音響学、結晶構造の解明など多面的な研究を行った。父アルブレヒトはノーベル医学生理学賞を受賞(1910)し、ハイデルベルク大学教授だった。

高山 進]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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