コットン効果(読み)コットンコウカ

化学辞典 第2版 「コットン効果」の解説

コットン効果
コットンコウカ
Cotton effect

光学活性物質の旋光度が,ある波長で異常に変化する現象.光学活性物質中を平面偏光が通過すると,偏光面は右または左に旋回される(旋光性).旋光度が長波長から短波長に向かって,一様に増加または減少する場合を正常分散,極大や極小値をもって複雑に変化する場合を異常分散という.異常分散はA. Cottonによって認められ,コットン効果とよばれる.コットン効果は,分子分極率が波長によってかわるために現れる.比旋光度を波長に対してプロットした分散曲線が,一つの山と一つの谷をもつとき,これを単一コットン効果曲線という.図のように,長波長側に山,短波長側に谷のある曲線を正のコットン効果曲線,逆の場合を負のコットン効果曲線という.山あるいは谷が二つ以上現れるものを複合コットン効果曲線という.コットン効果を有する曲線をすべて異常分散曲線という.[別用語参照]旋光分散

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

法則の辞典 「コットン効果」の解説

コットン効果【Cotton effect】

旋光分散,つまり光学活性物質による偏光面の回転の大きさが,波長によって異なる現象において,吸収帯の付近で旋光度が大きく変わる現象をいう.

出典 朝倉書店法則の辞典について 情報

栄養・生化学辞典 「コットン効果」の解説

コットン効果

 旋光異常分散ともいう.吸収帯付近で円二色性の波長依存性の曲線と,旋光角の波長依存性の曲線が変化する現象.

出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のコットン効果の言及

【旋光分散】より

…ところが実測の旋光分散曲線は,実線[2]のようにλ0のまわりで有限な値をとりながら符号を変化する。このように,比旋光度の値が急激に変化する異常分散の現象をとくにコットン効果Cotton effectと呼ぶ。曲線[2]のようにλ0の長波長側で[α]または[M]の値が負で,短波長側で正となる場合を負のコットン効果と呼び,逆に正から負に変わる場合を正のコットン効果という。…

※「コットン効果」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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