日本大百科全書(ニッポニカ) 「コミ(民族)」の意味・わかりやすい解説
コミ(民族)
こみ
Komi
ロシア連邦のウラル山脈西側の北部と中部に住むウラル語族フィン・ウゴル語派ペルム語系のコミ語(ジリヤン語)を話す人々。かつてはジリヤンとよんだが、現在では自称に従ってコミという。居住地や文化の違いなどから北方、南方の2グループに大別できる。北方グループは狭義のコミで、ペチョラ川流域とブイチェグダ川上流域に住む。南方グループはカマ川上流域に住み、コミ・ペルミャクとよばれる。
かつてコミはカマ川上流域に住んでいたが、5~10世紀の間に一部が北のブイチェグダ川中流域に移住し、さらに16~18世紀にブイチェグダ川上流域とペチョラ川流域に再移住した。これが現在の北方グループで、カマ川に残った人々の子孫が南方グループである。一般に農耕と牧畜を行うが、北方グループでは漁業、狩猟、林業も重要で、また19世紀中ごろからトナカイ飼育をサモエードから習った。南方グループでは鉱業も盛んである。コミの大多数はロシア正教徒である。
[板橋作美]