コランダム(読み)こらんだむ(英語表記)corundum

翻訳|corundum

精選版 日本国語大辞典 「コランダム」の意味・読み・例文・類語

コランダム

〘名〙 (corundum) =こうぎょく(鋼玉)

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デジタル大辞泉 「コランダム」の意味・読み・例文・類語

コランダム(corundum)

酸化アルミニウムからなる鉱物。ダイヤモンドに次いで硬い。六方晶系。赤色のものをルビー、青色のものをサファイアといい、人工的にも作られる。宝石・研磨剤に利用。鋼玉。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「コランダム」の意味・わかりやすい解説

コランダム
こらんだむ
corundum

アルミニウムAl)の酸化鉱物で、宝石鉱物の一つ。鋼玉(こうぎょく)ともいう。宝石となる赤いものをルビー、青色などの赤色以外のものをサファイアという。鉱物としてはダイヤモンドに次いで硬く、研磨剤としても用いられる(研磨剤としては窒化ホウ素(BN)などダイヤモンドより硬いものもある)。ルビーは結晶質石灰岩、苦灰岩中、あるいはこれらから導かれた砂鉱(漂砂鉱床)中に、サファイアはアルミナに富んだ変成岩あるいは特殊な玄武岩中に産する。日本では、宝石になるようなものは少なく、接触変成岩中、ペグマタイトないし気成鉱床中、ろう石鉱床中、超塩基性岩に伴われる曹長岩中などに産する。

 共存鉱物としては、白雲母、黒雲母、スピネル、紅柱石、葉ろう石、灰簾(かいれん)石、微斜長石などがあり、いずれもアルミニウムの鉱物である。またエメリーというアルミナに富んだ特殊な接触変成岩の成分をなし、カナダでは霞石(かすみいし)を含む片麻岩中に濃集して産する。高い硬度、大きい比重を特徴とする。理論上は石英と直接共存しないとされているが、南極のグラニュライト相に属する変成岩から石英との直接共存例が発見されている。コランダムは宇宙創成時に最初に生成された鉱物の一つといわれている。英名は、ルビーを意味するタミル語のkuruntamに由来する。

加藤 昭 2018年12月13日]


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改訂新版 世界大百科事典 「コランダム」の意味・わかりやすい解説

コランダム
corundum

鋼玉ともいう。美しい赤色のものはルビー,また青色のものはサファイアといわれ,宝石として珍重される鉱物。化学組成はAl2O3であるが,少量のFe2O3,TiO2,Cr2O3などを含むものがある。ルビーの色は少量のCr2O3,サファイアの色は少量のFe2O3あるいはTiO2によるという。六方晶系。色は多様であるが,青色ないし無色,黄色ないし黄金色,まれに紫色,桃色ないし赤色を呈する。透明ないし半透明。ガラス光沢ないしダイヤモンド光沢。モース硬度9でモース硬度計の標準として用いられる。比重4.0~4.1。コランダム,磁鉄鉱あるいは赤鉄鉱,スピネルなどが複雑に混じり合ったものをエメリーemeryといい,粒状,黒色ないし灰黒色である。コランダムの産状は多様で産地も多いが,(1)ペグマタイトあるいはケイ酸分に乏しい火成岩の構成鉱物として,(2)アルミナに富む堆積岩,ボーキサイトなどの再結晶によって,(3)火成岩,大理石などが交代作用を受けて,(4)蠟石鉱床などの熱水変質帯に産出あるいは生成する。コランダム鉱床はカナダ,南アフリカ共和国,アメリカ,インド,マダガスカル,ソ連などに知られている。ルビー,サファイアは主として砂鉱から採掘され,ミャンマー,タイ,スリランカは良質なものを産することで有名である。日本では福島県石川,岐阜県苗木,奈良県二上山,広島県勝光山などにコランダムが産出し,石川,苗木にサファイア,大分県木浦鉱山にルビーの産出が知られている。エメリー鉱床は,多くの場合,ボーキサイト鉱床が接触変成作用を受けたもので,ギリシアトルコ,アメリカなどに知られているが,ギリシアのナクソス島のものが有名である。日本では大分県木浦鉱山でエメリーが採掘されている。コランダムおよびエメリーはかつて研磨材の一種として用いられたが,近年は人工研磨材がその主流を占めるようになった。現在,ルビー,サファイアは人工的に合成され,時計などの軸受,装飾に用いられる。
サファイア →ルビー
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化学辞典 第2版 「コランダム」の解説

コランダム
コランダム
corundum

α-Al2O3.鋼玉ともいう.アルミナ多形中の一つで,低温から融点までの全域でもっとも安定なもの.しばしばFe2O3やCr2O3を固溶した結晶鉱物(ルビー,サファイアなど)として天然に産出する.宝石,研磨材として利用されたが,人造コランダムができて以来,エメリー以外の天然品は研磨材として利用されなくなった.人造コランダムは主として研磨材に用いられ,電融してつくられ,原料に純アルミナを用いた白色のものはW砥粒,ボーキサイトからつくられるものは酸化チタンを含み有色でA砥粒とよばれる.そのほかベルヌーイ法による人造コランダムは,宝石,軸受けに使用され,靭性が高い.結晶は三方晶系.Rca = 0.5120 nm.α = 55°17′.モース硬度9(新モース硬度12).密度3.9~4.1 g cm-3.屈折率ε 1.76,ω1.768.融点2050 ℃.

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「コランダム」の意味・わかりやすい解説

コランダム
corundum

Al2O3 。天然の酸化アルミニウムでイルメナイト群。鋼玉ともいう。六方晶系の鉱物。劈開なし。硬度9でダイヤモンドに次いで硬い。比重4。ガラス光沢。色は無,灰,青,緑,赤など。条痕は無色。酸に不溶。霞石閃長岩など二酸化ケイ素の少い火成岩中に副成分鉱物として産するほか,変質作用を受けた花崗岩中にトパーズなどと共存。また脱ケイ酸作用を受けた塩基性,ないしは超塩基性岩中に斜長石類に伴って産したり,火山岩の熱水変質鉱物の一つとして,葉ろう石,カオリナイト,ディッカイトなどの粘土鉱物とともに産する。これらの岩石の風化により大規模な砂鉱床を形成することがある。赤色系統および青緑色系統の美結晶は,それぞれルビーおよびサファイアと呼ばれ,宝石として価値が高い。これらの着色原因は微量に含まれるクロム,チタン,鉄などによる発色効果であると考えられている。色の悪いものは金剛砂として研磨材,砥材などに使われる。人造砥石はコランダム粉を熱硬化性樹脂などで成形してつくる。粉砕して粒度をそろえたものをエメリーといい,研磨紙用である。なおコランダムは人工的にもつくられ,これをアランダムという。人造ルビーはその一種で,機械式腕時計のピボット軸受に使われる。腕時計で 20石などというのはその数である。

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百科事典マイペディア 「コランダム」の意味・わかりやすい解説

コランダム

鋼玉とも。天然のアルミナAl2O3の鉱物。ケイ酸分の少ない種々の変成岩や火山岩の捕獲岩中に産する。六方晶系で,結晶は錐状または柱状。色は灰色,褐色が多く,透明で色の美しいものはルビー(紅,Crを含む),サファイア(青,Feを含む)などの宝石として利用される。比重は約4。硬度9でダイヤモンドに次いでかたく,軸受・研磨に用いられるが,普通は人工合成石を用い,天然石と区別しにくい。→エメリー
→関連項目アランダムアルミナエルー人工鉱物

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世界大百科事典(旧版)内のコランダムの言及

【アルミナ】より

…工業的には,ボーキサイトなどのアルミナ鉱石から,1888年にオーストリアのバイヤーKarl Josef Bayerによって発明されたバイヤー法により製造するのが普通である。天然のアルミナ結晶にはコランダム(鋼玉)があり,その純粋で美しく着色したルビーやサファイアなどは宝石に使われる。着色は微量に含まれる重金属によるものである。…

※「コランダム」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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