コルムネア(英語表記)Columnea

改訂新版 世界大百科事典 「コルムネア」の意味・わかりやすい解説

コルムネア
Columnea

筒状の美しい花をつけ,鉢植え,吊鉢にして栽培される温室植物イワタバコ科の植物で,コルムネア属は熱帯アメリカに約100種が分布する。茎はつる性,または斜上か直立する常緑性の植物で,樹上に着生する。葉は対生するが,種類によっては左右の葉が不同で,中には片方の葉が痕跡的になり,互生するようにみえるのもある。各葉腋ようえき)に,ふつうは1花をつける。栽培されている種類の多くは,筒状花の先端の上の4裂片が癒合してひさし状となり,下の1裂片が細くて反転する。赤色系の花が多いが,黄,白色の種類もある。果実は多肉で球状,中に微細な種子が含まれる。日本で栽培されている代表的な種類は,交配雑種から育成されたコルムネア・スタバンガーCstavanger Hort.で,冬から春にかけて各葉腋に一斉に赤色花をつけ,美しい。一般に,挿木で繁殖する。春に挿木すると翌春には花を楽しめる。培養土は排水のよい多孔質のものを用いる。夏は遮光下で栽培し,秋以降は夜間15℃内外に保つ。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「コルムネア」の意味・わかりやすい解説

コルムネア
こるむねあ
[学] Columnea

イワタバコ科(APG分類:イワタバコ科)の常緑草本で、熱帯アメリカの多雨林地帯に約200種が着生状態で育つ。室内園芸が盛んになるにつれ、吊(つ)り鉢として栽培が期待される。原種だけでなく交雑種も多く、種間交雑の可能性も高い。アルグータC. arguta C.V.Mort.はパナマ原産。茎は長く下垂し、長三角形の葉を密生する。花は長さ6~7センチメートルで、先端は幅広く開き、橙赤(とうせき)色。スタバンガーC. × stavangerも茎は下垂し、朱赤色花を冬から春に葉腋(ようえき)に単生する。モルトニイC. mortonii Raym.は丈の低い直立型で、長さ6~8センチメートルの朱赤色花をつける。キューエンシスC. × kewensis hort.は横張り型で、じょうぶで花つきがよい。4、5月に挿木で殖やし、摘心して形を整える。水苔(みずごけ)植えが育てやすい。

[高林成年 2021年7月16日]

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百科事典マイペディア 「コルムネア」の意味・わかりやすい解説

コルムネア

熱帯アメリカ原産のイワタバコ科の着生あるいはつる性の常緑植物で,約100種がある。多肉質の葉をもつ種が多く,花も美しいので,温室などで吊り鉢仕立てにされる。葉は対生し,唇形の筒状花が葉腋に1個から数個つく。花色は赤,だいだい,黄など。よく見かけるのはコルムネア・グロリオサなど。春〜初夏に開花するものが多いが,不定期のもの,年間咲き続けるものもある。

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