日本大百科全書(ニッポニカ) 「コロニー(生物集団)」の意味・わかりやすい解説
コロニー(生物集団)
ころにー
colony
同種または複数種の生物が集団をなしてある地域に定住しているとき、その集団を広くコロニーとよぶ。普通、コロニーとよばれているものには、ひとまとまりの植物の群落、海鳥やサギなどにみられる集団繁殖地、齧歯(げっし)類のプレーリードッグなどにみられる集団巣(そう)、テンマクケムシなどにみられる集団網(もう)、ハチやアリなどの社会性昆虫の巣、クダクラゲの群体などさまざまのものが含まれるが、とくに、ある地域の集団を一括して扱うときはコロニーという語を用いることが多い。コロニーの持続性や、成員間の社会的関係の強さにはさまざまな段階があり、血縁関係のない多数のつがいが繁殖期にのみ集合して形成され、そのなかでは各つがいが比較的独立して生活するもの(海鳥など)、母親(女王)とその娘(ハタラキバチ、アリ)が高度に統合された社会的関係のもとで一生の間生活するもの(社会性昆虫)、さらには、単一の細胞から分裂して生じた各個体(個虫)が接着して群体を形成し、まるで一つの個体のようになったもの(クダクラゲ、コケムシなど)もある。
なお、新しい土地に最初に移りすんだ動物または植物の集団のことを入植者の意味でコロニーとよぶこともある。さらに、主として固形の平板培地上に生じた細菌、培養細胞などの集落のことをコロニーとよぶ。
[喜多 実]