コロラドハムシ(英語表記)Leptinotarsa decemlineata

改訂新版 世界大百科事典 「コロラドハムシ」の意味・わかりやすい解説

コロラドハムシ
Leptinotarsa decemlineata

甲虫目ハムシ科の昆虫。Colorado beetleまたはpotato beetleと呼ばれ,ジャガイモの大害虫として知られる。原産地の北アメリカで野生のナス科植物を食べていたが,1855年ごろ,コロラド地方でジャガイモが栽培され始めると,ジャガイモへ寄主転換を行い,猛烈な勢いで分布を広げた。77年ごろドイツに渡りヨーロッパでも被害を与えている。成虫は体長約10mm,半球形で背面は鮮やかな橙黄色頭部胸部に黒紋があり,各上翅には5本の黒条がある。年に1~3回発生する。さなぎで越冬し,羽化した成虫はジャガイモの発芽のころ地上へ出現し新梢(しんしよう)を食害する。卵は若い葉の裏面に20~30個ずつ産みつけられる。1匹の雌は500~1000個を産卵する。孵化(ふか)した幼虫は集団で芽や葉を加害する。幼虫期間は14~21日間で,この間に4回脱皮して蛹化(ようか)する。幼虫は黄赤色で黒紋があり,腹部は肥満する。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「コロラドハムシ」の意味・わかりやすい解説

コロラドハムシ
ころらどはむし
Colorado (potato) beetle
[学] Leptinotarsa decemlineata

昆虫綱甲虫目ハムシ科に属する昆虫。北アメリカとヨーロッパに分布するジャガイモの大害虫である。体長10ミリメートル前後。体は半球形に近く、橙黄(とうこう)色で上ばねに各5条の黒い縦帯があり、前胸にも黒紋がある。原産地はアメリカとメキシコの境界域であるロッキー山脈の東側で、野草を食べていたが、ジャガイモの栽培とともにこれに移り、1855年から74年までに大西洋岸まで広がり、1922年にはフランスに現れ、以後40年間にヨーロッパ中・南部ほぼ全域に分布し、旧ソ連にも侵入した。ジャガイモのほか、トマトなど同属の数種も好んで食害する。適温では年4世代を繰り返し、成虫は地中で越冬する。幼虫は赤くてよく太り、体の両側黒点が2列ある。

[中根猛彦]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「コロラドハムシ」の意味・わかりやすい解説

コロラドハムシ

トスジハムシ」のページをご覧ください。

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世界大百科事典(旧版)内のコロラドハムシの言及

【ハムシ(葉虫)】より

…ハムシ科は多くの亜科に分けられ,その生態も変化に富む。また葉を食するためコロラドハムシ(イラスト)など著名な害虫も少なくない。ネクイハムシ亜科の幼虫は半水性で,ネクイハムシDonacia lenziの幼虫はヒルムシロやイネなどの水生植物の根を食べる。…

※「コロラドハムシ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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