コンクリートポエトリー(英語表記)concrete poetry

翻訳|concrete poetry

改訂新版 世界大百科事典 「コンクリートポエトリー」の意味・わかりやすい解説

コンクリート・ポエトリー
concrete poetry

具体詩。言語には意味,命題文脈,比喩等の文法的・修辞的要素のほか,音声の聴覚性と文字の視覚性がある。近代詩は象徴主義以後,言語の視聴覚的要素の喚起力と物質的エネルギーを回復しようとし,シェーアバルトモルゲンシュテルンの音響詩,未来派の自由話法,ダダの抽象詩,物体詩,同時詩などの実験を生んだ。これらが,カンディンスキーやビルMax Bill(1908-94)の〈具体芸術(コンクリート・アート)〉,イズーIsidore Isou(1925- )らの〈レトリスムlettrisme〉に媒介されて,第2次大戦後,言語を文法や意味から自立させ,裸形の物質として時間と空間,世界構造へと解放するコンクリート・ポエトリーの運動となった。それは視覚的,聴覚的,キネティックの3分野に大別され,東西ヨーロッパや南北アメリカにひろがった。M.ベンゼ(ドイツ),E.ウィリアムズ(アメリカ),イジ・コラージチェコ)などが代表的詩人で,日本でも北園克衛らの《Vouバウ)》誌(1935創刊)が知られる。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android