コンロンカ(読み)こんろんか

改訂新版 世界大百科事典 「コンロンカ」の意味・わかりやすい解説

コンロンカ (崑崙花)
Mussaenda parviflora Miq.

沖縄や台湾に自生するアカネ科の高さ1~2mの常緑低木。葉は対生する。花は小さく黄色の筒状で,五つに裂ける。白色の萼苞が発達し,花弁状に見えて美しい。コンロンカ属Mussaendaはアジア,熱帯アフリカ,太平洋諸島に約60種が分布する。熱帯地方では,花弁のように見える萼苞が美しいため庭木によく用いられる。ヒゴロモコンロンカM.erythrophylla Schum.et Thonn.は熱帯アフリカ原産の低木で,観賞用に広く利用される。葉状の萼苞は短毛でおおわれ,花は白色で5裂し筒状部は淡紅色。萼苞は卵形で大きく,朱紅色で美しい。これには萼苞が濃桃色の品種ロゼアcv.Roseaがある。このほかに萼苞がやはり大きく乳白色のものにムッサエンダ・フィリピカM.philippica A.Rich.があり,フィリピン,ニューギニア原産で美しい。コンロンカ以外は耐寒性がなく,冬は15℃以上を保つ。よく日にあててつくるが,排水のよい肥えた土に植える。繁殖は挿木か取木で,6~7月がよい。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「コンロンカ」の意味・わかりやすい解説

コンロンカ
こんろんか / 崑崙花
[学] Mussaenda parviflora Miq.

アカネ科(APG分類:アカネ科)の常緑低木で、種子島(たねがしま)から沖縄、台湾に自生する。葉は対生し、長さ8~10センチメートルの長卵形で、先はとがる。夏に茎頂に集散花序をつけ、黄色の筒状花を数花つける。花冠の先端は星形に5裂する。萼(がく)は5裂し、その1裂片が葉と同じ大きさに育ち、純白色で花弁状にみえる。その白さを、仏教徒の伝説の山、崑崙山(こんろんざん)の雪に見立てたのが名の由来だといわれる。コンロンカ(ムッサエンダ)属はアジア、アフリカ、ヨーロッパの熱帯各地に約200種分布するが、園芸的に栽培されるのは数種にすぎない。ヒゴロモコンロンカM. erythrophylla Schum. et Thonn.は熱帯西アフリカの原産で、花弁状の萼片は朱赤色で美しい。原生地ではつる性で、高さ9メートル以上にもなる。高温性のためか、温室栽培はややむずかしく、熱帯でみるようなあでやかさはない。熱帯では桃色、黄白色、複色などの園芸品種もみられる。挿木で殖やすが、発根しにくい。

[高林成年 2021年5月21日]


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