ゴシキヒワ(読み)ごしきひわ(英語表記)goldfinch

翻訳|goldfinch

改訂新版 世界大百科事典 「ゴシキヒワ」の意味・わかりやすい解説

ゴシキヒワ (五色鶸)
goldfinch
Carduelis carduelis

スズメ目アトリ科の鳥。全長約12cm。雌雄同色。前頭からのどにかけて赤,側頭からほおにかけて白く,後頭からくびにかけて黒い。背はぶどう褐色で,腰は白い。翼と尾は黒く,翼には幅広い黄斑があり,飛ぶときによく目だつ。ヨーロッパおよび北アフリカから中央アジアまで分布する。低地の林縁や疎林にすみ,人里近くにも多く,ヨーロッパでは都市の公園や庭の樹木にもよく現れるので親しまれている。1夫1妻で繁殖するが,なわばり性はあまり強いものではなく,数つがいが比較的近くに集まって巣をつくる。常緑樹落葉樹であれば葉が茂ってから,枝の上にわん形の巣をつくり,1腹4~6個の卵を産む。シージリッと鳴き,複雑な声でさえずる。春先には集まってコーラスをする。冬は小群から100羽を超える群れで農耕地に現れ,主として雑草種子を食べる。繁殖期には多量の昆虫類をとる。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ゴシキヒワ」の意味・わかりやすい解説

ゴシキヒワ
Carduelis carduelis; European goldfinch

スズメ目アトリ科。全長 12~13cm。額,顔,喉は赤色,頬から側頭,上胸は白色。後頭は黒く,背は灰褐色,腰は白色。尾は黒く,先端に白斑がある。胸腹部はくすんだ白色。は黒く,よく目立つ黄色の帯がある。ヨーロッパ中部から北アフリカ中央アジアに広く繁殖分布し,北方で繁殖するものは少し南方に移動して越冬する。疎林,庭園や公園の明るい林,樹林の散在する草地などに生息する。ヨーロッパ各地でごく普通に見られ,派手な羽色をしているので親しまれている。なお,飼育中のものが逃げ出したり,あるいは移入されたりして,オーストラリア南東部やニュージーランド,アメリカ合衆国ほか世界の何ヵ国かで野生化している。飼育下では,カナリアとの雑種がつくりだされている。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ゴシキヒワ」の意味・わかりやすい解説

ゴシキヒワ
ごしきひわ / 五色鶸
goldfinch
[学] Carduelis carduelis

鳥綱スズメ目アトリ科の鳥。ヨーロッパから小アジア、北アフリカにかけて分布し、北方のものは南へ渡って越冬する。北アメリカにも移入されて、少数が野生化している。全長約13センチメートル。赤、黄、白、黒などで鮮やかに彩られた美しい小鳥で、鳴き声のよいこともあって、ヨーロッパでは19世紀に飼い鳥として賞用された。日本でもキンレイチョウ(金鈴鳥)とよばれて輸入されたことがある。夏には昆虫も食べるが、おもな食物は草や木の実で、地上にあまり降りよあうとはせず、アザミ類の頭に止まって種子をついばんだり、ハンノキの実をつついたりする。木の枝に巣をかけ、5~6個の卵を産む。多いときは1シーズンに3回も雛(ひな)を育てる。北アメリカにもともと分布し英名が同じgoldfinchがいるが、これは同属の別種で、アメリカゴシキヒワまたはオウゴンヒワの和名でよばれる。

[竹下信雄]

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