ゴス(英語表記)Edmund William Gosse

改訂新版 世界大百科事典 「ゴス」の意味・わかりやすい解説

ゴス
Edmund William Gosse
生没年:1849-1928

イギリスの批評家。博物学者で厳格なキリスト教徒の父フィリップ・ヘンリー・ゴスによって教育され,のちほとんど独学でフランス文学北欧文学を身につけ,大英図書館員,商務省通訳官,上院司書などを務めるかたわら,批評の筆をとり,《サンデー・タイムズ》をはじめとする新聞・雑誌を舞台にし,イギリス文壇に君臨した。当時もっとも幅広い教養と美意識の持主と目され,フランスの高踏派から象徴派の紹介,北欧イプセン,ビョルンソンの移植,イギリス17世紀のジョン・ダンの再評価などに力があった。膨大な著作のなかで《17世紀研究》(1883),《イプセン》(1907),《肖像素描》(1912)などの批評作品,父との葛藤を描いた自伝体小説《父と子》(1907)がとくに優れる。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ゴス」の意味・わかりやすい解説

ゴス
Gosse, Sir Edmund

[生]1849.9.21. ロンドン
[没]1928.5.16. ロンドン
イギリスの批評家,文学史家。ピューリタン的な家風のもとに育ち,父への激しい愛憎を経験して文学に関心をもつにいたった事情は,自伝『父と子』 Father and Son (1907) に詳しい。大英博物館や上院の職員となったこともあるが,文筆活動を続け,『18世紀イギリス文学』 18th Century Literature (1889) などの文学史,T.グレーやダンの評伝,イプセンの戯曲翻訳を出した。 17,18世紀イギリス文学の研究ばかりでなく,スカンジナビア文学,フランス文学研究でも先駆者的業績を上げた。

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