ゴメス・デ・ラ・セルナ(読み)ごめすでらせるな(英語表記)Ramón Gómez de la Serna

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ゴメス・デ・ラ・セルナ」の意味・わかりやすい解説

ゴメス・デ・ラ・セルナ
Gómez de la Serna, Ramón

[生]1888.7.3. スペインマドリード
[没]1963.1.12. アルゼンチンブエノスアイレス
スペインの小説家。スペイン内乱後アルゼンチンに定住。独自の短文形式「グレゲリーア」gregueríaを案出して『グレゲリーアス』Greguerías(1910~40)に収録,奇想と隠喩で読者の意表をつき,現実の実像虚像を倒錯させて諧謔効果を強めている。ほかに,エル・グレコ,ラモン・デル・バリェ=インクラン,オスカー・ワイルドなどの伝記アンドレマルロー,ジャン・コクトー,ガブリエール・ダンヌンツィオなどの翻訳,小説や評論など。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ゴメス・デ・ラ・セルナ」の意味・わかりやすい解説

ゴメス・デ・ラ・セルナ
ごめすでらせるな
Ramón Gómez de la Serna
(1888―1963)

スペインの作家。16歳ごろから創作を開始、早熟の文才を注目され、マドリード、オビエド両大学で法学を修めたのち、本格的作家活動に入る。前衛の立場にたち、伝統にとらわれない自由な発想から、小説、戯曲随筆、評論、伝記など独創的作品を発表。なかでも持ち味のユーモア感覚は「グレゲリア」に躍如としている。グレゲリアとは隠喩(いんゆ)や洒落(しゃれ)を用いて、機知に富む着想連想を軽快に表現する文章のことで、作者自身は「ユーモア+隠喩=グレゲリア」と定義する。その代表作『グレゲリア集』(1918)をはじめ、小説『白と黒の未亡人』(1917)、『闘牛士カラーチョ』(1926)や、ゴヤ、エル・グレコなどの伝記がある。

[東谷穎人]

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百科事典マイペディア 「ゴメス・デ・ラ・セルナ」の意味・わかりやすい解説

ゴメス・デ・ラ・セルナ

スペインの作家。マドリードに生まれ,小説,伝記,エッセーなどの著作活動のほか,ジャーナリストとしても活躍した。スペイン内乱後はブエノスアイレスに移り,そこで没した。彼は文学史上,諧謔(かいぎゃく)プラス隠喩(いんゆ)と自ら定義した,〈グレゲリーア〉と呼ばれる新たな表現形式の創造者として知られているが,これは空想的で機知にとんだ短い論評,あるいは連想の遊びのようなものである。

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