サイバーフォース(読み)さいばーふぉーす

日本大百科全書(ニッポニカ) 「サイバーフォース」の意味・わかりやすい解説

サイバーフォース
さいばーふぉーす

ハイテク犯罪サイバーテロに対処する、警察庁の専門技術部隊。コンピュータ犯罪の複雑化やサイバーテロの社会的影響の大きさに備え、犯罪の未然防止、被害拡大防止、犯罪捜査の情報技術的支援を目ざし、2001年(平成13)4月に設置された。全国の警察組織のなかから選ばれた、コンピュータや情報セキュリティに関する高い技能をもつ人材で構成されている。当初、警察庁や都市部の管区警察局など9か所に配備されていたが、2013年に全都道府県に配備が拡大された。2013年5月時点で、全国に約260人のサイバーフォース要員がいる。犯罪捜査を情報技術面から支援すると同時に、不正侵入を常時監視して、サイバーテロ発生時には、企業や公共インフラ機関などに出動し、攻撃の遮断、被害拡大防止、被害回復、テロ行為者の追跡警告などの職務を担う。

 東京都内(所在地は秘匿)にサイバーフォースセンター(警察庁サイバーテロ対策技術室)が置かれており、鉄道・航空などの交通機関をはじめ、電気・ガス、情報通信、金融、行政機関などの公共インフラ機関と連携しながら、24時間体制でサイバーテロを監視している。サイバーテロが起きた場合、同センターがサイバーフォースへ出動を指示する。また、各都道府県警のネットワークシステムをサイバーテロなどから守るため、警察機関とインターネットとの接続点(全国57か所)に設置された侵入検知システムIDS:Instruction Detection System)で常時オンライン監視し、ネット上のさまざまな犯罪情報の分析を通じて、犯罪の未然防止などに生かしている。このほかサイバーテロやコンピュータ犯罪に関する技術研究や、サイバーフォース職員の教育訓練なども実施している。なお、2013年には、サイバーフォースセンターの機能を強化するため、情報分析などにあたる「サイバー攻撃分析センター」が新設された。

[編集部]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android