サイラス・マーナー(読み)さいらすまーなー(英語表記)Silas Marner

日本大百科全書(ニッポニカ) 「サイラス・マーナー」の意味・わかりやすい解説

サイラス・マーナー
さいらすまーなー
Silas Marner

イギリスの女流小説家、G・エリオットの中編小説。1861年刊。ラブローの村に1人住むリネン織工サイラス・マーナーは、かつて北部故郷親友に裏切られて以来、神と人間への信頼を失い、金をためることのみを唯一の喜びとする孤独な男。ある夜この金が何者かによって盗まれ、彼は絶望どん底に落ちるが、偶然迷い込んだ幼児エピーを男手一つで育てるうちに、この幼児への愛を通して人生と自然への愛情を取り戻す。この主題は「純粋で自然な人間関係のもつ救済力」(作者手紙一節)にほかならない。

[川本静子]

『土井治訳『サイラス・マアナー』全2冊(岩波文庫)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「サイラス・マーナー」の意味・わかりやすい解説

サイラス・マーナー
Silas Marner

イギリスの女流作家 G.エリオットの小説。 1861年刊。手織職人サイラス・マーナーは親友の裏切りから無実の罪に問われ,すっかり人間嫌いになって片いなかの村で孤独な生活をおくり,金貨の数がふえるのを唯一の楽しみとする守銭奴になっている。ところが近在の地主道楽息子にこの金を盗まれ,そののち,家に迷い込んできた捨て子の少女エピーを養育することになり,次第に愛に目ざめていく。因果応報の道徳性を強調した厳粛な語り口のなかに,農民の素朴でユーモラスな人情を交えた好中編で,エリオットの代表作の一つとされている。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

脂質異常症治療薬

血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...

脂質異常症治療薬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android