サガリテス(英語表記)Sagarites

改訂新版 世界大百科事典 「サガリテス」の意味・わかりやすい解説

サガリテス
Sagarites

日本の新第三系の泥質岩に多産する海綿動物門の1属。サガリテスの名前は静岡県相良(さがら)地域に発達する中新統相良層から最初に報告されたことに由来している。しかし,この属名はすでに先取されていたことがわかり,現在はマキヤマMakiyamaの属名で呼ばれている。骨格管状で,その長さは最大5cm,直径は5mmである。まれに分岐がみられる。管状骨格の先端には孔があり,これは海綿動物に一般的な流出溝とみなされている。一方の端は模式標本では植物破片に付着している。多くの1軸型骨針が不規則に配列し,その長さは0.01~0.32mmである。現在,マキヤマ(サガリテス)は普通海綿綱の1属と考えられているが,これがどのようなカイメンであったかという詳細な点については,まだ問題が少なくない。分類上の位置を大きく異にする砂質有孔虫や有殻多毛虫化石に外形上よく似たところがあり,その識別には注意が必要である。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「サガリテス」の意味・わかりやすい解説

サガリテス
Sagarites

海綿動物門尋常海綿綱モノアクソニダ目に属するものと考えられている化石動物(→海綿動物)。ケイ質一軸針からなる直径 5mm程度の管状を呈する化石で,長さ 50mmにも達する。日本では新第三系中新統上部の,特に泥岩中によく発見される。多くの場合折れて短い管状を呈する。

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