サシバ(英語表記)Butastur indicus; grey-faced buzzard

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「サシバ」の意味・わかりやすい解説

サシバ
Butastur indicus; grey-faced buzzard

タカタカ科全長 41~51cm。背面と胸は赤褐色。喉は白く,中央に 1本の褐色縦斑がある。下胸以下の下面は白地に赤褐色の横斑がある。尾は褐色で黒帯が 2~5本あり,これは幼鳥の方が多い。飛びながら「ぴっくぃー」と鳴く。昆虫類カエルトカゲなどの小動物を主食とする。ウスリー地方から東アジア温帯で繁殖し,日本の南部から東南アジアで越冬する。日本には夏鳥(→渡り鳥)として 4月上旬に渡来し,本州以南の平地標高 1000m以下の山林で繁殖する。また秋の渡りのときには 1万羽近くが愛知県伊良湖岬を通過し,四国地方を横切って鹿児島県佐多岬から琉球諸島へ渡り,越冬地へ南下することで知られている。以前に比べると鳥の数は減少している。種子島以南では越冬する個体もいる。(→タカ猛禽類

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改訂新版 世界大百科事典 「サシバ」の意味・わかりやすい解説

サシバ (鶆鳩)
gray-faced buzzard-eagle
Butastur indicus

タカ目タカ科の鳥。秋の渡りのときには非常に大きな群れをつくって渡るので有名。日本,沿海州,中国北部で繁殖し,東南アジアやニューギニアに渡って越冬する。日本には4月ころ渡来し,本州,四国,九州,伊豆諸島などの標高1000m以下の林で繁殖する。〈ピックゥイー〉とよく鳴き,数も多いので見かけることが比較的多いタカである。全長約50cm。上面は赤褐色,下面は白っぽくて褐色の横縞がある。おもな食物は,ヘビ,トカゲ,カエルなどで,ネズミや小型の鳥をとることもある。また,イナゴバッタなどの昆虫類もよく食べる。秋の渡りは9月初めに始まり,9月末から10月上旬にかけて,愛知県伊良湖岬,鹿児島県大隅半島,沖縄県宮古島では1万を超すサシバが海を渡っていくのを見ることができる。5~6月に高い木の上に巣をつくり,1腹2~4個の卵を産む。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「サシバ」の意味・わかりやすい解説

サシバ
さしば / 差羽
gray-faced buzzard-eagle
[学] Butastur indicus

鳥綱タカ目タカ科の鳥。アジア北東部で繁殖し、冬は東南アジアに渡る。全長約50センチメートル、体の上面は赤褐色で頬(ほお)は灰色、白い眉斑(びはん)がある。体の下面は白地に褐色の横斑がある。日本には夏鳥として渡来し、本州、四国、九州の低山帯の山林で繁殖し、マツなどの高い木の枝の上に巣をつくる。沖縄諸島では越冬するものが少数ある。カエル、ヘビなどの小動物を食べ、ピックィーと鳴く。秋になると群れをつくって南方へ渡っていく。愛知県伊良湖岬(いらごみさき)、鹿児島県佐多岬、沖縄県宮古島は南下するサシバの大群がみられることで有名である。

高野伸二


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百科事典マイペディア 「サシバ」の意味・わかりやすい解説

サシバ

タカ科の鳥。翼長33cm。背面と上胸部は赤褐色。腹面は赤褐色と白との縞(しま)模様。アジア東部に分布。本州,四国,九州の低山の林に夏鳥として渡来し,秋に大群をなして南方へ渡る。高木上に枝を集めて巣を作り,5〜6月ころ2〜5個卵を産む。おもに小型哺乳(ほにゅう)類や小鳥,ヘビ,カエル,バッタ等を捕食。ピックィーまたはキンミーと鳴く。絶滅危惧II類(環境省第4次レッドリスト)。
→関連項目タカ(鷹)

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