サバティエ(英語表記)Paul Sabatier

デジタル大辞泉 「サバティエ」の意味・読み・例文・類語

サバティエ(Paul Sabatier)

[1854~1941]フランス化学者。ニッケル触媒による有機化合物の接触還元を研究し、硬化油工業の基礎を築いた。1912年、ノーベル化学賞受賞。サバチエ

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改訂新版 世界大百科事典 「サバティエ」の意味・わかりやすい解説

サバティエ
Paul Sabatier
生没年:1854-1941

フランスの化学者。エコール・ノルマル・シュペリウールに学び,その後,コレージュ・ド・フランスのP.E.M.ベルトロのもとで助手として熱化学の研究を行い,学位を取得した。1884年トゥールーズ大学の化学の教授となり1930年までその職を務めた。種々の金属と気体分子との反応に関する研究を行うなかで,エチレンの水素還元が微細な金属ニッケルの存在下で起こることを見いだした(1897)。その後この反応を一般化して,多くの不飽和化学結合をもつ有機化合物の接触水素還元法を確立した。この業績により,1912年V.グリニャールとともにノーベル化学賞をうけた。
執筆者:

サバティエ
Auguste Sabatier
生没年:1839-1901

フランスのプロテスタント神学者。1867-73年,ストラスブルク(シュトラスブール)大学で改革派教義学を講じた後,パリに出てパリ大学にプロテスタント神学部を創設した(1877)。シュライエルマハーリッチュルのフランスへの紹介者として知られ,その新約聖書批評とともに,キリスト教の教義は根源的な宗教体験の象徴化によるものとする所説は,カトリック教界にも影響を与えた。主著は《使徒パウロ》(1870),《宗教哲学》(1897)など。なお,フランチェスコ研究で知られるポール・サバティエPaul S.(1858-1928)も神学者として有名。
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百科事典マイペディア 「サバティエ」の意味・わかりやすい解説

サバティエ

フランスの有機化学者。エコール・ノルマルに学び,1884年トゥールーズ大学教授。1897年サンドランJean Baptiste Senderens〔1856-1937〕とともに,ニッケルを触媒としてのエチレンの水素添加成功以後,種々の還元金属を用いての不飽和有機化合物の接触還元法を研究し,有機化学に新分野を開拓,今日の油脂化学工業の基礎を築いた。1912年ノーベル化学賞。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「サバティエ」の意味・わかりやすい解説

サバティエ
さばてぃえ

サバチエ

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世界大百科事典(旧版)内のサバティエの言及

【化学】より

…ディールスOtto Paul Hermann Diels(1876‐1954)とK.アルダーの発見したディールス=アルダー反応(ジエン合成,1928)は,環式化合物を鎖式化合物から一挙に合成する強力な手段となった。P.サバティエによって開拓された金属触媒による水素付加反応(接触還元)は,実験室でも工業規模でも広く採用された。水素化リチウムアルミニウムに代表される金属水素化物は,より強力な還元剤として有機合成の重要な試薬となった。…

※「サバティエ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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