サメハダホシムシ(読み)さめはだほしむし

日本大百科全書(ニッポニカ) 「サメハダホシムシ」の意味・わかりやすい解説

サメハダホシムシ
さめはだほしむし / 鮫肌星虫
[学] Phascolosoma scolops

星口動物門ホシムシ科に属する海産動物。日本各地に生息するほか、世界各地にも広く分布し、海岸の石の下のすきまや海藻根元などにすむ。体は2~5センチメートルの円筒形で、先端はしだいに細くなり、長い陥入吻(かんにゅうふん)となる。陥入吻の背面には黒褐色斑紋(はんもん)があり、吻の先端には12~24本の指状の触手馬蹄(ばてい)形に並んでいる。体の皮膚は厚く、黒褐色の大きな乳頭突起で覆われているが、とくに吻の基部と体後部では突起が大きく、さめ肌になっている。触手の付近に15~25環列に濃褐色の鉤(かぎ)が並ぶ。近縁種のヤマトサメハダホシムシP. japonicumは、前種と同じ場所にすむが、吻に黒褐色の横帯がなく、鉤は25~70環列に並び、表面の構造が前種よりも簡単なことで区別される。

[今島 実]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「サメハダホシムシ」の意味・わかりやすい解説

サメハダホシムシ
Phascolosoma scolops

星口動物門星虫綱星虫目ホシムシ科。体長 5cm内外で,その長さの3分の2ほどの吻をもつ。体は黄褐色で,体表一面に黒褐色の乳頭状突起があり,ざらざらしているのでその名がある。潮間帯あるいはその下の岩礁にすみ,海藻の根部,岩の割れ目,貝や他の動物群集の間などにみられる。日本各地に分布する。

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世界大百科事典(旧版)内のサメハダホシムシの言及

【ホシムシ(星虫)】より

… ホシムシ類は発生の特徴から環形動物の多毛類やユムシ類と近縁であるといえるが,ホシムシ類には体節制がなく,特有な触手器官があり,肛門が体前方に開いており,また血管系がないことなどが,大きな特徴になっている。 日本では,サメハダホシムシPhascolosoma scolops,イケダホシムシGolfingia ikedai,スジホシムシSipunculus nudus(イラスト),スジホシムシモドキSiphonosoma cumanenseなどがふつうに見られる。広島,愛知,高知などの各県では釣餌虫としてよく用いる。…

※「サメハダホシムシ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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