サーンレダム(英語表記)Pieter Jansz.Saenredam

改訂新版 世界大百科事典 「サーンレダム」の意味・わかりやすい解説

サーンレダム
Pieter Jansz.Saenredam
生没年:1597-1665

オランダの建築画家銅版画家ヤン・サーンレダムの子としてハールレム近郊に生まれる。ハールレムでグレッベルF.Grebberに学び,1623年同市の画家組合入会。もっぱらこの町で活躍。ハールレムとユトレヒトを中心とする各地のプロテスタント教会堂の内部を描いた写実的な作品は,16世紀以来伝統的であった幻想的建築画とまっこうから対立する革新的な存在で,また遠近法的見地からの若干の補正を除いては細部まで現実に忠実で強い記録性を有し,後続するE.デ・ウィッテE.de Witteらによる教会画とも質を異にする。厳格な画面構成と白壁に反映する光の精緻な描写にすぐれる作品は,20世紀にはいってから純粋絵画の先駆的存在として脚光を浴びた。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「サーンレダム」の意味・わかりやすい解説

サーンレダム
Saenredam, Pieter Jansz

[生]1597.6.9. アッセンデルフト
[没]1665.5.31. 〈埋葬〉ハールレム
オランダの画家。版画家ヤンの子。父とともにハールレムに出て F.P.デ・フレッベルの工房に入り,1623年ハールレムの聖ルカ画家組合加盟精確デッサンと遠近法によって知られ,建築物を忠実に描写した最初の画家の一人。代表作は『ハールレムの聖バフォ聖堂内部』 (1636) ,アムステルダム国立美術館蔵『アムステルダム旧市庁舎』 (57) など。

サーンレダム
Saenredam, Jan

[生]1565. サーンレダム
[没]1607.4.6. アッセンデルフト
オランダの版画家,版画出版者。画家ピーテルの父。ヤコブ・ゲイン2世およびヘンドリク・ホルツィウスに学ぶ。ビュラン技法による精妙な銅版彫刻で知られる。巨匠たちの絵画作品をもとに多数の銅版画を制作。彼自身のオリジナル銅版画の主題の多くはネーデルラントの事件や歴史的アレゴリーを扱ったもの。

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世界大百科事典(旧版)内のサーンレダムの言及

【銅版画】より

…しかし,ハールレムのH.ホルツィウスはコルト流の線のうねりや肥瘠をさらに大きくし,線と線の間隔も広げる。その結果,刻線は再現のためというよりビュランのアクロバティックな曲線そのものの動きや交錯のおもしろさを表現する場合があり,弟子のマタムJacob Matham(1571‐1631),ミュレルJan Müller(1570ころ‐1625ころ),P.J.サーンレダムらに引き継がれた。またルーベンスは優れた版画家群に自作を複製させ,彫刻銅版画の古典的技法形成に一役買った。…

※「サーンレダム」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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