ザークプ(英語表記)zakup

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ザークプ」の意味・わかりやすい解説

ザークプ
zakup

古代~中世ロシアの隷属民。負債農民などと訳される。 11世紀後半,農業発達につれ大土地所有者に圧迫されていった小農民や土地を失った農民が,土地のほか農具,種子などを借受け,その返済のために大地主のところで働いた。借金の返済後は自由になれたが,未払いのまま逃亡すれば奴隷 (ホロープ) にされた。その反面,自分の家や菜園地をもち,法廷に訴え出る資格もあって,違法な仕方で奴隷にされたことがわかれば,そのまま自由になることができたが,奴隷化されることが多かった。 11~12世紀のキエフ国家で特に目立った。

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世界大百科事典(旧版)内のザークプの言及

【ウラジーミル・モノマフ】より

…ポロベツ人との戦いで有名になり,キエフ・ロシアの分裂化が進行する中で,たびたび開催された諸公会議で中心的役割を演じた。1113年キエフに民衆暴動が発生したため,民会(ベーチェ)に請われて大公となり,暴動を鎮圧,〈利子に関する法令〉と〈ザークプに関する法令〉を発布し,高利貸の利子の制限とザークプ(債務奴隷的農民)の地位の改善を図った。《子らへの庭訓》を著し,当時の文化人としての側面をのぞかせているが,オレーグ・スビャトスラビチへの手紙,《原初年代記》第2編集本の編纂の指示(1116)にみられるように,その内容は大公権力の強化によるキエフ・ロシア統一を志向するものであった。…

【ルスカヤ・プラウダ】より

…家畜などの財産侵害についても詳細に規定している。公,貴族,公の従臣などのほか,リュージlyudi(共同体員),スメルドsmerd(農民),ザークプzakup(債務奴隷的農民),ホロープ(奴隷)が登場してくる。この法典はその後のロシア,リトアニアにおける法典作成の典拠とされた。…

※「ザークプ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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