シタール(英語表記)sitar

翻訳|sitar

精選版 日本国語大辞典 「シタール」の意味・読み・例文・類語

シタール

〘名〙 (sitār) 北インド撥弦楽器の一つ。七弦の金属弦に付された可動フレット(線)で調律ができる。

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デジタル大辞泉 「シタール」の意味・読み・例文・類語

シタール(〈ヒンディー〉sitār)

北インドの撥弦はつげん楽器。胴はカボチャでつくり太く長い棹に7本の主要弦と十数本の共鳴弦とを張り、右手の人さし指につけた義甲で弾奏する。

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改訂新版 世界大百科事典 「シタール」の意味・わかりやすい解説

シタール
sitar

北インドの撥弦楽器。13世紀にデリーの宮廷に仕えた音楽家アミール・ホスローが,それまでにあった楽器を改良して作ったとされている。シタールという言葉の起源は,ペルシア語のセ・タール(seh(三)tār(弦))で三弦という意味である(セタール)。シタールの胴は普通,その中心に近い所で半分に切ったふくべでできている。棹は長さ約90cm,幅約8cmで,16~22個の金属製のフレットが,ガットあるいは絹糸で結びつけられている。これは,演奏するラーガにより,フレットの位置を変えることを可能にするためである。このフレットの上に6~7本の鉄および銅の演奏弦が張られており,左手の指で弦を押さえ,右手の食指にはめた金属製の爪で弦をはじいて演奏する。フレットの下には演奏弦と平行して11~12本の共鳴弦が張られ,演奏するラーガにより異なった調弦を棹の側面のペグで行う。演奏弦は,6弦の場合,第1弦からマ(嬰ヘ),サ(嬰ハ),ガ(嬰ホ),パ(嬰ト),サ,(サの1オクターブ上),7弦の場合,マ,サ,パ,サ,パ,サ,と調弦される。現在インドの古典音楽は,北インド音楽文化圏に属するものと,南インド音楽文化圏に属するものとに分かれる。北インドでトルコやペルシア系の音楽理論や楽器等の影響を受けながら,今日のラーガとターラ理論に近い形をなし始めた中世の宮廷音楽の中で栄えた楽器であるシタールは,現代では古典音楽のみならず,ポピュラー音楽映画音楽にも用いられている。
インド音楽
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百科事典マイペディア 「シタール」の意味・わかりやすい解説

シタール

北インドのリュート属撥弦楽器。ヒンドゥスターニー音楽独奏楽器。瓢箪製の共鳴胴と太くて長い棹をもつ。棹には16〜22個の金属製フレットが,ラーガにより位置を移動できるよう,ガットか絹糸で結びつけられている。フレットの上には6〜7本の金属製の演奏弦が張られ,左手の指で弦を押さえ,右手人差し指にはめた金属製の義爪ではじく。フレットの下には11〜12本の共鳴弦が張られている。現代ではポピュラー音楽や映画音楽にも用いられる。
→関連項目サロードハリソンビーナー

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「シタール」の意味・わかりやすい解説

シタール
したーる
sitar

北インドのリュート型撥弦(はつげん)楽器。全長約130センチメートル、チーク材製の長い棹(さお)と、カボチャの半割りにチーク板を張った胴体をもつ。棹は長さ約90センチメートル、幅約8センチメートルで凹型にくぼんでおり、これに弓状に湾曲したフレットを紐(ひも)で結び付ける。フレットは真鍮(しんちゅう)製で、通常20個。その位置は、演奏ラーガ(旋法)によって調節する。主要弦は7本、そのうち2本はリズム、ドローン用のチカリ弦。フレットの下には13本の共鳴弦を張る。すべて金属製。右手の親指を胴体の付け根に置き、人差し指に針金製の爪(つめ)をはめて弾奏する。シタールは14世紀ごろペルシアのセタールから考案されたといわれ、ラビ・シャンカールの演奏によって世界的に知られるようになった。

[柴田典子]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シタール」の意味・わかりやすい解説

シタール
sitār

北インドの撥弦楽器。タンブーラ (→タンブール ) に似ているが,北インドの最も一般的な旋律楽器。胴と棹は木製で,共鳴のふくべをもつものもある。棹には指板がついていて,真鍮あるいは銀製の可動のフレットが 16~22ある。ドローンを含めた7本の演奏弦はスチールと真鍮で,旋律を演奏する。演奏弦の下にはほとんど並行して 11~12本の共鳴弦をもつ。針金の義甲を右手の人差指にはめて演奏する。

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