シッポゴケ(英語表記)Dicranum japonicum Mitt.

改訂新版 世界大百科事典 「シッポゴケ」の意味・わかりやすい解説

シッポゴケ
Dicranum japonicum Mitt.

シッポゴケ科の大型の蘚類。日本とその近接地域に分布し,低地から亜高山帯までのやや明るい場所の腐植質の多い土上に群生する。茎は高さ10cm以上に達し,地上部にも白い仮根をつける。葉は針形で長さ約1cm,広く開出し,中央脈は先端に達する。蒴(さく)は曲がった円筒形,先端はくちばし状,蒴歯は16枚で先端が2裂する。和名は植物体が動物の尾に似ているため。カモジゴケD.scoparium Hedw.は世界に広く分布し,日本では前種と同様な場所に生える。シッポゴケに比して葉が密で強く偏曲し,地上部の仮根は褐色。和名は葉がそろって一方の側に曲がった植物体を,日本髪の髪結用の入れ毛(かもじ)に見立てたもの。シッポゴケ属Dicranumは日本に約20種ある。雌雄異種で,雄株は一般に微小で矮雄(わいゆう)と呼ばれる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「シッポゴケ」の意味・わかりやすい解説

シッポゴケ
しっぽごけ
[学] Dicranum japonicum Mitt.

コケ植物シッポゴケ科の1種。山地の半日陰地の腐植に富む地上などに大きな群落をつくる。茎の高さ8~10センチメートルで、白色の仮根で覆われる。葉は細長い披針(ひしん)形で、8~10ミリメートルの長さ。胞子体は1本。日本各地のほか、朝鮮半島、中国にも分布する。

 なお、シッポゴケはシッポゴケ属の種類の総称としても使われる。日本には約20種が知られている。オオシッポゴケD. nipponenseは茎に褐色の仮根をたくさんもち、シッポゴケよりはやや小形。カモジゴケD. scopariumは褐色の仮根をもち、高さ2~7センチメートル。両種とも日本全国に普通にみられ、庭園に植えられることもある。

[井上 浩]

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