シトロネラール(英語表記)citronellal

改訂新版 世界大百科事典 「シトロネラール」の意味・わかりやすい解説

シトロネラール
citronellal



シトロネラ油(スリランカ産のシトロネラソウから得られる香油),ユーカリ油等に存在し,レモン様の香気をもつ,無色または淡黄色の液体。非環式モノテルペンに属するアルデヒドで,不斉炭素原子をもつため,d-,l-体およびそのラセミ体が存在する。天然のシトロネラールはd-,l-体の混合物である。比重0.85,沸点206℃,引火点77℃。水に難溶,アルコール,エーテルに可溶。空気,日光,アルカリに不安定で,容易に閉環反応を起こしてイソプレゴールまたはそのエステルとなる。シトロネラ油を水蒸気蒸留すると得られるが,さらに亜硫酸水素ナトリウムと処理して結晶性付加物としてから精製する。またβ-ピネン,ミルセンを原料として合成される。香粧用,セッケン香料として,またスパイスフレーバー,食品香料(ジンジャー,チェリー,シトラス)等にも若干用いられる。そのほか,シトロネロールヒドロキシシトロネラールメントールの合成中間体となる。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「シトロネラール」の意味・わかりやすい解説

シトロネラール
しとろねらーる
citronellal

鎖状セスキテルペンアルデヒドの一つ。シトロネラールには1個の不斉炭素原子があるため、右旋性(d体)、左旋性(l体)および不活性(dl体、ラセミ体)の光学異性体がある。シトロネラ油中には30~40%のシトロネラールがあり、それはd-シトロネラール80%、dl-シトロネラール20%の混合物である。引火点77℃。特有の香気をもつ淡黄色の液体で、アルカリにより樹脂化しやすく、酸により環化してイソプレコールになりやすい。せっけん香料、合成l-メントール、ヒドロキシシトロネラールの合成原料として重要である。

[佐藤菊正]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

化学辞典 第2版 「シトロネラール」の解説

シトロネラール
シトロネラール
citronellal

3,7-dimethyl-6-octenal.C10H18O(154.24).非環状セスキテルペンアルデヒド.イネ科コウセンガヤChloris radiataから得られる.シトロネラ油には,(R)-(+)-シトロネラールが含まれている.還元すればシトロネロールを生じる.沸点47 ℃(0.13 kPa).+11.5°.[CAS 5949-05-3:(S)-(-)-シトロネラール]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

栄養・生化学辞典 「シトロネラール」の解説

シトロネラール

 シトロネラ油の主成分.香料として使われる食品添加物

出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報

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