シマヘビ(読み)しまへび

改訂新版 世界大百科事典 「シマヘビ」の意味・わかりやすい解説

シマヘビ (縞蛇)
Elaphe quadrivirgata

日本の各地でよく知られている爬虫綱ナミヘビ科の無毒ヘビ。全長1~1.5m,伊豆七島の唯苗(ただなえ)島では1.9~2m余りの大きな個体が採集されている。北海道,本州,四国,九州および各離島に分布。胴の背面には,頸部から尾部にかけて4条の黒褐色の縞模様が走る。子ヘビには茶褐色の横縞模様があり,成長とともにこれらが薄れて縦縞模様が顕著になる。アオダイショウに似るが,虹彩が赤色で胴回りの体鱗が19列である点で区別できる。平地から低山地水辺草原耕地森林周辺などに生息し,餌はカエルなどの両生類トカゲのほか,小さいヘビ,小鳥,ネズミ類。人にもなれるが,追い詰められると激しく尾をふるわせて威嚇し,とびかかる。7~8月ごろに10~20個ほどを産卵し,40~50日ほどで孵化(ふか)する。本種の黒化型は一般にカラスヘビと呼ばれ,性質が少し荒い。伊豆大島産のシマヘビはほとんどが黒化型。
ヘビ
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「シマヘビ」の意味・わかりやすい解説

シマヘビ
しまへび / 縞蛇
[学] Elaphe quadrivirgata

爬虫(はちゅう)綱有鱗(ゆうりん)目ナミヘビ科のヘビ。北海道、本州、四国、九州および大隅諸島などの離島に普通にみられる無毒種。全長1~1.5メートルで、伊豆七島の祗苗(ただなえ)島では1.9~2.1メートルの大形個体が採集されている。無毒ヘビの典型的な体形をしており、黄褐色の体背面には頸部(けいぶ)から尾部にかけて、4条の黒色縦条が走る。幼体は赤みを帯び、背面に赤褐色の横帯と4列の黒色斑点(はんてん)とが並ぶ。成長につれて横帯が薄れ、斑点が黒褐色の縦縞(たてじま)模様として鮮明となってくる。アオダイショウに似るが、虹彩(こうさい)が赤みがかり、胴周りの体鱗が19列である点が異なる。平地から低山地の水辺、草原、耕地、森林周辺などに生息し、地上にいることが多い。餌(えさ)はカエル、サンショウウオ、トカゲ、小さなヘビ、小鳥、小哺乳(ほにゅう)類などである。飼育するとよくなれるが、野外では追い詰められると、激しく尾を振って威嚇する。夏に10~20個ほどを産卵し、40~50日ほどで孵化(ふか)する。カラスヘビは本種の黒化型である。

[松井孝爾]

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百科事典マイペディア 「シマヘビ」の意味・わかりやすい解説

シマヘビ

ナミヘビ科の無毒ヘビ。全長1〜1.5m。頭胴部には黄褐色地に4条の黒褐色の縦縞(たてじま)が走る。日本の固有種で,全国に分布し,平地や山地の水田,草原,森林などに広く生息。昼行性でカエルなどを主食とし,他にネズミ,鳥類とその卵などを捕食する。卵生で初夏に10〜20卵を産む。俗にカラスヘビといわれる全身黒色のヘビは本種の黒化型。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シマヘビ」の意味・わかりやすい解説

シマヘビ
Elaphe quadrivirgata

トカゲ目ナミヘビ科。体長 1.5mに達する。体背面は淡青褐色で,頸から尾にかけて4本の黒褐色の縞がある。また眼の横にも短い黒い線がある。腹部は淡緑色。幼体の体色は淡赤色で成体のものと著しく違うので,別種であるように思われやすい。縞は生後1年ぐらいから現れる。卵生で無毒。日本各地の平地や山地の森林,草原などに普通にみられる。

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