シマミミズ(英語表記)Eisenia foetida

改訂新版 世界大百科事典 「シマミミズ」の意味・わかりやすい解説

シマミミズ
Eisenia foetida

貧毛綱ツリミミズ科の環形動物。各体節ごとに赤い縞模様があるところからこの名で呼ばれる。世界に広く分布し,日本でも各地に分布し,堆肥近く台所の流し付近にすんでいる。体長6~18cm,体幅3~4mm,体節数は80~110。各体節には4対の短い剛毛が側面から腹側にかけて存在する。個体が成熟すると第26~32体節に環帯が生じ,産卵孔は第13と14体節間の腹面両側に,雄性孔は第15体節に開く。受精囊は第9と10体節間,第10と11体節間の背面正中線近くに開口していて,別な個体と交尾をして精子を保存する。環帯の表面から粘液が分泌して薄くてじょうぶな卵包膜をつくり,その内部に白いタンパク液が分泌される。この膜が卵を包んだものを卵包と呼び,1個の卵包の中に10~60個の卵が産み出される。親とほぼ同じくらいの環節数になって卵包から孵化(ふか)する。再生力が強く,体を真ん中から二つに横断しても,やがて失った部分を再生して2匹の完全なミミズになる。多年性で,4年半生存した記録がある。昔から魚釣りの餌に用いられ,最近では養殖もされている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「シマミミズ」の意味・わかりやすい解説

シマミミズ
しまみみず / 縞蚯蚓
[学] Eisenia foetida

環形動物門貧毛綱ツリミミズ科に属する代表的な陸生ミミズ。堆肥(たいひ)や生ごみの下などにも多いため、ミミズが汚い所にすむという誤解の原因をつくっている。台所の流し口や浴室に姿をみせるのは、水流に逆らって進む性質があるためである。体長18センチメートルくらいに達する個体もあるが、普通10センチメートルどまりのものが多い。シマミミズの名は、各体節中央に紫褐色の横帯があることによる。しかし、この縞(しま)ははっきりしない場合もある。キジというのは、このミミズの釣り餌(え)としての名称。最近は養殖も盛んとなり、パルプなどの廃棄物処理、土壌改良など多方面に利用されている。日本だけでなく、世界各地に広く分布する。

大野正男

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百科事典マイペディア 「シマミミズ」の意味・わかりやすい解説

シマミミズ

貧毛類ツリミミズ科の環形動物。体長6〜18cmで,体節数は80〜110。淡紅色で各体節の中央に紫褐色の太い縞(しま)があるため,全体が縞模様になってみえる。世界に広く分布し,堆肥の近くや湿った場所にすむ。釣餌漢方薬に用いられ,養殖もされている。
→関連項目ミミズ

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シマミミズ」の意味・わかりやすい解説

シマミミズ
Eisenia foetida

環形動物門貧毛綱後生殖門目ツリミミズ科。体長約 8.5cm,体幅 0.4cm,体節数 100内外。各節とも淡赤色であるが,その中央に太い紫褐色の線をもつため,全体として縞模様を呈している。多年生で,有機物に富む土中に普通にみられる。釣餌として用いられる。世界に広く分布する。

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