シマメノウフネガイ(英語表記)Crepidula onyx; onyx slipper shell

改訂新版 世界大百科事典 「シマメノウフネガイ」の意味・わかりやすい解説

シマメノウフネガイ (縞瑪瑙船貝)
Crepidula onyx

カリバガサガイ科の巻貝。殻は長さ3cm,幅2.5cm,高さ1cmくらいになる。低くて平らな楕円形で,巻きは後端による。殻表は紫褐色で褐色の皮をかむり,内面は濃紫褐色で白色の薄い板が後半にある。潮間帯下より水深20mくらいのところにすむサザエアカニシボウシュウボラナガニシの殻や,ヤドカリの入った主として巻貝の殻の上に付着する。北アメリカ西岸原産であるが,1968年夏に東京湾口の金田湾で最初に発見され,急速に太平洋岸を北は小名浜,南は九州まで広がり,日本にすみついた。82年には香港にも侵入している。性転換し,小型の個体は雄で大型の個体になると雌になる。たくさん重なりあっている場合には下の大きい個体が雌で上の小さい個体が雄,その中間は雌雄両性の状態にある。卵は卵囊に入れて,母貝の下に産みつけ保護する。口から細長い吻(ふん)を出して,付着している巻貝の殻の中に入れて有機質のごみを食べる。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シマメノウフネガイ」の意味・わかりやすい解説

シマメノウフネガイ
Crepidula onyx; onyx slipper shell

軟体動物門腹足綱カリバガサガイ科。殻長径 3.5cm,殻短径 2.5cm,殻高 1cm。付着生活のため殻の形は一定しないが,ほぼ楕円形の笠形で,殻頂後方に寄る。殻表は濃褐色,内面の隔板は白色。北アメリカ西岸が原産地。日本では 1968年に東京湾で発見され,その後分布を広げ,現在では北海道南西部から九州にまで及んでいる。サザエ,アワビなどの巻貝類の殻上に着生してそれらの排泄物などを食べている。雄性先熟の性転換をする。大型の個体の上に何個体も積重なって背負われていることもあるが,この場合一番下の大型個体が雌,一番上の個体が雄で,間はやや中間的な性を示す。

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