シャターリン案(読み)シャターリンあん

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シャターリン案」の意味・わかりやすい解説

シャターリン案
シャターリンあん

1990年9月,ソ連大統領会議メンバーのシャターリンが,ペトラコフ,ヤブリンスキーほか 10数名のグループで作成した急進的経済改革案。 500日で市場経済化を達成することを目標にしており,「500日計画」ともいわれる。市民の経済活動の権利,企業の経済活動自由化,共和国の経済主権など6つの原則を柱としたうえで,最初の 100日には土地の私有化,大企業の民営化,財政赤字削減など,100日から 250日には価格の自由化,商業・飲食サービス業の民営化,独占企業の解体,財政赤字ゼロ化など,250日から 400日までは工業,輸送,サービス業の 30~60%民営化,住宅改革,ルーブル外貨の国内自由交換性など,400日から 500日には工業・企業の 70%,その他の産業,サービス業の 80~90%の民営化,独立労組の助成などを実行することを提案している。しかし,ゴルバチョフはこれをそのまま採用せず,対抗する政府案との折衷はかり,大幅に修正した案を採用した。シャターリンらはこれに不満をもちゴルバチョフ指導部を去った。

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