日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
シャープ(William F. Sharpe)
しゃーぷ
William Forsyth Sharpe
(1934― )
アメリカの金融経済学者。ボストン生まれ。医師を目ざしてカリフォルニア大学バークリー校に入学したが、専攻を経済学に変えてカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)に編入し、1961年に博士号を取得した。アメリカの有力シンクタンクのランド研究所、ワシントン大学、カリフォルニア大学アーバイン校を経て、スタンフォード大学教授に就任。1980年にはアメリカ・ファイナンス学会会長も務めた。1990年に、H・M・マルコビッツ、M・H・ミラーとともにノーベル経済学賞を受賞した。
UCLA時代の1960年代に、マルコビッツのポートフォリオ理論を簡略化・実用化させ、投資の際、証券のもっとも効率的に分散されたポートフォリオを求める「資本資産評価モデル」Capital Asset Pricing Model(通称CAPM)を構築したことが、ノーベル賞の受賞理由となった。
リスク調整後収益率として、ポートフォリオのリスク1単位当りの超過収益率を表すシャープ・レシオを編み出す。シャープ・レシオは、ポートフォリオの成果を評価する基準として、市場関係者の間で利用されている。
[金子邦彦]
[参照項目] |
|