日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
シューマン(Clara Schumann)
しゅーまん
Clara Schumann
(1819―1896)
ドイツのピアノ奏者、作曲家。著名なピアノ教師フリードリヒ・ウィークの長女で、ローベルト・シューマンの妻。ライプツィヒ生まれ。天才少女としてリストから激賞される腕前の持ち主であったが、1840年父の反対を押し切ってローベルトと結婚し、結婚後は一時活動を控えた。シューマンやショパンの解釈に優れたものをみせ、彼らの作品の普及に貢献したほか、シューマン没(1856)後は、ブラームスの作品紹介に尽力した。とくにシューマン、ブラームスの演奏解釈は、今日まで一つの規範となっている。ピアノ独奏曲など多くの作品があるが、シューマンの『〈愛の春〉からの12の詩』(1841)の第2、第4、第11曲は彼女の手になる。またシューマンの書簡編集(1885)とともに、作品全集の編集にも加わっている。ローベルトとの間に3男4女をもうけたが、いずれも先だたれ、晩年はフランクフルト音楽学校で教鞭(きょうべん)をとり、同地に没した。
[岩井宏之]
『原田光子著『クララ・シューマン――真実なる女性』(1976・ダヴィッド社)』