シロナマコ(読み)しろなまこ

改訂新版 世界大百科事典 「シロナマコ」の意味・わかりやすい解説

シロナマコ (白海鼠)
Paracaudina chilensis ransonneti

ナマコ綱イモナマコ科の棘皮(きよくひ)動物で,いぼも管足ももたないナマコ。北海道南部から東北地方にかけて分布する。体長10cm内外の紡錘形で,後部が短い尾のようになっている。全体は紅白色でやや透明胴部では内臓が透けて見える。体表は滑らかであるが横じわが多い。15本の触手をもっている。皮膚の中には微小な金平糖状の骨片が埋まっている。砂中で肛門を上向きにして斜めに潜っており,砂上に高さ5cmほどの小さい丘を盛り上げる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「シロナマコ」の意味・わかりやすい解説

シロナマコ
しろなまこ / 白海鼠
[学] Paracaudina chilensis

棘皮(きょくひ)動物門ナマコ綱シロナマコ科に属する海産動物。ウジムシを大きくしたような形の白っぽいナマコ。体は筒形で、後方部分が急に細まって尾のように長く伸びる。体表にいぼや管足などの突起物がまったくない。体壁は薄く、多数の横じわがある。全体に淡汚黄色を帯び、内臓部分は暗色に透けてみえる。内湾の砂泥中に潜り、体を斜めに横たえて肛門(こうもん)を上向きにし、高さ4~5センチメートルの小山をつくる習性がある。産卵期は5月と11月。北海道南西部、陸奥(むつ)湾、佐渡島のほか、中国北部、ニュージーランド、チリ沿岸にも分布する。

[重井陸夫]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シロナマコ」の意味・わかりやすい解説

シロナマコ
Paracaudina chilensis

棘皮動物門ナマコ綱隠足目イモナマコ科。体長 10cm内外。体は紡錘形で後部が尾状に伸びている。帯白色で,内臓が少し透き通って見える。触手は 15本。浅海の砂に埋もれて生活するため,管足やいぼがなく,体表はなめらかである。太平洋に広く分布する。

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