シンジケート・ローン(読み)しんじけーとろーん(英語表記)syndicated loan

翻訳|syndicated loan

知恵蔵 「シンジケート・ローン」の解説

シンジケート・ローン

複数の金融機関(銀行等)がシンジケート団を組織し、同一の契約書、同一の条件で協調融資を行うこと。銀行等が企業等に貸し出しを行うという意味では、伝統的な融資(ローン)と変わらない。ただ、複数の金融機関が同一の契約書、同一の条件で融資を行うため、(1)金利等の条件が市場原理に基づいて決定される、(2)同一条件での融資のため、事後的な債権売買が容易となる、という特徴があるといわれている。そのため、シンジケート・ローンが普及すれば、参加した金融機関同士はもとより、機関投資家なども含めたローン債権売買の活性化につながると期待されている。現在、日本ローン債権市場協会(JSLA)・日本銀行・金融機関などの関係者は、ローン債権取引の標準契約書の制定貸付債権の譲渡価格算定ツール作成、ローン債権のマーケット・メイクの試みなどローン債権流通市場を作る努力を進めている。シンジケート・ローンの組成実績は2005年には約25兆円に達している。しかし、組成されたローン債権が実際に売買によって流通しているケースは、まだ限定的である。

(吉川満 (株)大和総研常務理事 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シンジケート・ローン」の意味・わかりやすい解説

シンジケート・ローン
syndicated loan

中心となる幹事銀行のもとに複数の金融機関が協調し,融資団 (シンジケート) を組成して行う大型信用供与をいう。貸手はリスク分散がはかられ,借手は同一手続によって多額の資産を効率的に調達できる。 1968年のオーストリア向けの1億ドルのローンがシンジケート・ローン第1号といわれており,1970年代に入るとユーロ市場を中心に急速に発達した。一般に期間が5~15年の中長期貸付けが多く,融資金利はユーロ市場の調達金利 (普通は LIBOR) にスプレッドを上乗せしてスライドするフローティング・レートが適用されている。スプレッドは融資期間の長短信用リスクに応じて決定されている。

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