シートピア計画(読み)しーとぴあけいかく(英語表記)Seatopia Project

日本大百科全書(ニッポニカ) 「シートピア計画」の意味・わかりやすい解説

シートピア計画
しーとぴあけいかく
Seatopia Project

日本の海中居住実験計画。sea(海)とutopia(理想郷)との合成人工語。当時の科学技術庁が主体となって推進し、海洋科学技術センター(現、海洋研究開発機構)が実験など実際の作業にあたった。目的は、数名の観測者が水深50~100メートルの海中で長時間海中居住を行い、人間の海中居住について海中工学、医学、生理学などの面から総合的な実験研究をするものであった。施設、機器は、海中居住基地、水中エレベーター(PTC)、減圧室(DDC)、支援ブイなどで、1969年(昭和44)から1975年まで行われ、30メートル(1972、静岡県田子港)、60メートル(同)、100メートル(1975、静岡県内浦湾)の各海中実験に成功した。この成果はその後の深海潜水調査船しんかい2000」の企画建造やその他の潜水作業技術の開発進歩に大きな貢献をしている。シートピア計画は、1960年代中葉より海洋先進国が競って開始した海中居住実験計画、たとえばシーラブ計画(アメリカ)、プレコンチナン計画(フランス)に対応するものである。

[半澤正男]

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百科事典マイペディア 「シートピア計画」の意味・わかりやすい解説

シートピア計画【シートピアけいかく】

科学技術庁の委託で,海洋科学技術センターが進めた海中居住実験計画。シートピアは,sea(海)とutopia(理想郷)の合成語将来海洋開発に向けて,水圧人体に及ぼす影響,海中居住基地の住み心地などの調査を目的とする。予備実験ののち,1972年8月15〜18日の間,静岡県西伊豆町沖の海底30mに設置された居住基地で4人のアクアノート(潜水技術者)が生活。1976年以降,中断

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世界大百科事典(旧版)内のシートピア計画の言及

【海洋開発】より

…この計画の実験を行ったのは1962年フランスのクストーによるプレコンティナン計画であり,アメリカは64年からシーラブ計画を行った。引き続き西ドイツのヘリゴラント計画,日本のシートピア計画が実施され,一応の成果は得られた。しかし支援装置がいずれも海上にあり,天候の急変や環境の変化のため支援装置が避難する必要が生ずる可能性があり,その場合ダイバーの安全を確保できないことが大きな問題となった。…

※「シートピア計画」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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