ジェブ・ブッシュ(読み)じぇぶ・ぶっしゅ(英語表記)Jeb Bush

知恵蔵 「ジェブ・ブッシュ」の解説

ジェブ・ブッシュ

米国の政治家、元フロリダ州知事。1953年2月11日生まれ、米国テキサス州出身。父親は米国の第41代大統領、ジョージ・H・W・ブッシュで、兄は第43代大統領のジョージ・W・ブッシュ。本名はジョン・エリス・ブッシュ(John Ellis Bush)で、それぞれの単語頭文字を取ってジェブと呼ばれている。2015年6月、正式に16年米国大統領選への立候補を表明し、共和党候補の指名争いに名乗りを上げた。
15年7月現在、共和党では、15人以上が立候補を表明している。15年6月に行われた世論調査では、ジェブは他の上位候補の支持率と比べて大差ないが、父親や兄から引き継いだ豊富な資金力により共和党の候補として有力視されている。
少年時代から公共サービスに興味を持ち、高校時代は交換留学生として、メキシコの学校で英語を教えた。高校卒業後はテキサス大学オースティン校に進学してラテンアメリカ文学専攻、1973年に卒業した。
大学卒業後は、テキサス商業銀行に入行。80年に父親が大統領選に出馬したことを受けて退職し、選挙スタッフとして活動した。父親は共和党予備選で敗れたものの、副大統領となったため、フロリダに移住して不動産開発会社の経営に携わるようになった。そして父親が88年に再度大統領選に出馬した際も手伝い、勝利に貢献した。
94年、自身も政治家となるためにフロリダ州知事選に立候補したが落選。98年に再挑戦して当選した。2002年には再選を果たしたが、07年に退任した。
16年の米国大統領選については、15年1月に自身のFacebookで政治資金の受け皿となる団体の設立を発表し、事実上の立候補表明と見られていた。選挙戦においては、年4%の経済成長や1900万人の新規雇用創出、低所得層の子どもたちへの教育機会の拡大などを主張している。だが、移民政策や教育改革では穏健な立場を取っており、強硬派の保守系草の根運動「ティーパーティー」などからの反発は根強い。
高校時代に知り合った妻コルンバはメキシコ出身であり、ジェブ自身もスペイン語は堪能なため、全米の総人口の約17%を占め、今回の大統領選で鍵を握るといわれているヒスパニック系(中南米系)に人気がある。米国では名門の政治家一家の出身だが、大統領選への出馬表明集会には父と兄は出席しておらず、距離を置いている。ロゴも「Bush」ではなく、過去の知事選で使ったファーストネームの「Jeb!」のみのロゴを復活させている。
民主党の本命候補で前国務長官のヒラリー・クリントンとは、ヒラリーの夫ビルが、92年の大統領選で現職だったジェブの父親を破り再選を阻んだことから「因縁の関係」にある。ヒラリーが当選すれば、米国史上初の夫婦での大統領就任に、ジェブならば初の一家から3人の大統領輩出となる。

(南 文枝 ライター/2015年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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