ジシギ(読み)じしぎ(英語表記)snipe

翻訳|snipe

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ジシギ」の意味・わかりやすい解説

ジシギ
じしぎ / 地鷸
snipe

鳥綱チドリ目シギ科に属するオオジシギGallinago hardwickiiチュウジシギG. megala総称。さらに広義には、同じタシギ属のタシギG. gallinagoハリオシギG. stenuraアオシギG. solitaria、および別属のコシギLymnocryptes minimusを含める場合もある。いずれもよく似た種で、嘴(くちばし)はまっすぐで長く、頭部と体の上面には黒とクリーム色の縦線があり、目は大きくて頭の上のほうについている。オオジシギは日本で繁殖するが、ほかの種は旅鳥冬鳥として渡来するだけである。水田湿地川岸などに潜み、敵が近づくとしゃがれた声を発して飛び立つ。長い嘴を土中に垂直に入れて、ミミズや昆虫を食べる。繁殖期には縄張りの上空を飛び回り、ディスプレーの際、尾羽を振動させて大きな音を発し急降下する。

高野伸二


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改訂新版 世界大百科事典 「ジシギ」の意味・わかりやすい解説

ジシギ (地鴫)
snipe

チドリ目シギ科のオオジシギとチュウジシギの両種を合わせていう。中型のシギで体はややずんぐりとしている。くちばしはまっすぐで長く,脚は比較的短い。体の上面は黒褐色の細かい斑紋でクリーム色の縦線が目だつ。体の下面は白くて,くびには黒い縦斑,わきには黒い横斑がある。極地を除いて世界的に分布し,草原で繁殖する。地上に巣をつくり,1腹の卵はふつう4個。非繁殖期には湿地にすみ,長いくちばしを土の中に垂直に入れて上下に動かしながらミミズや昆虫をあさる。オオジシギGallinago hardwickii(英名Latham's snipe)は日本で繁殖し,冬はニューギニア,オーストラリア,タスマニアに渡る。日本には夏鳥として渡来し,本州中部の高原,本州北部や北海道の草原で繁殖し,とくに北海道には多い。雄は自分のなわばりの上を飛びながらズビーヤク,ズビーヤクと繰り返して鳴き,しだいにテンポを速めると,ザザザ……と大きな尾音を発して急降下し,また上空へ上がってズビーヤクを繰り返す。電柱枯枝に止まって鳴いていることもある。渡りのときには低地の水田や湿地にいてゲッと鳴いて飛び立つ。チュウジシギG.megala(英名Swinhoe's snipe)は中部シベリアで繁殖し,日本には旅鳥として渡来し,水田や湿地にいる。

 なお,タシギ属の総称として使われることもある。日本で記録されたタシギ属の種には,前2種のほかにタシギG.gallinago,ハリオシギG.stenura,アオシギG.solitariaがある。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ジシギ」の意味・わかりやすい解説

ジシギ
snipes

チドリ目シギ科のタシギ属 Gallinago およびコシギ属 Lymnocryptes の鳥の総称。この仲間は一般に形態羽色習性が互いによく似ている。日本で繁殖するのはオオジシギだけであるが,アオシギ,コシギ L. minimusタシギチュウジシギ,ハリオシギ G. stenura が旅鳥または冬鳥(→渡り鳥)として日本に渡来し,草原,湿地,水田などに生息する。タシギは人が近づくまでじっとしていて急にジグザグ状に飛び立つ習性がある。古くからよい狩猟鳥とされていた。(→渉禽類

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