スイッチOTC薬(読み)スイッチオーティーシー

デジタル大辞泉 「スイッチOTC薬」の意味・読み・例文・類語

スイッチ‐オーティーシー(switch OTC)

OTCは、over-the-counter(drug)の略で、「処方箋しょほうせん不要の市販薬」の意》医療用処方薬から安全性の高いものを、特に市販薬に移したもの。スイッチ薬スイッチOTC薬。スイッチOTC。スイッチOTC医薬品

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「スイッチOTC薬」の意味・わかりやすい解説

スイッチOTC薬
すいっちおーてぃーしーやく

医療用医薬品の有効成分を使用した一般用医薬品。スイッチ薬ともいう。従来、医師処方箋(しょほうせん)が必要であった医療用医薬品を、薬局で処方箋なしで買える一般用医薬品(市販薬、大衆薬)に切り替えた(スイッチした)薬で、OTCは薬局のカウンター越し(over the counter)に購入できるという意味。医療用医薬品の成分のなかで、効き目がよく、使用実績があり、比較的副作用が少なく、安全性の高い成分を配合している。おもなスイッチOTC薬として、解熱鎮痛剤「イブプロフェン」「ロキソニン(ロキソプロフェン)」、胃腸薬「H2ブロッカー」、筋肉痛・関節痛薬「インドメタシン」などがある。医師にかからず、大衆薬で病気を予防・治療する「セルフ・メディケーション」普及一環として、水虫薬や禁煙補助剤など種類は増えている。しかし使用法を誤ると副作用が起きるケースがあるため、大半のスイッチOTC薬は、薬剤師の対面販売が義務付けられている。

 スイッチOTC薬の代金は、医師が処方する医療用医薬品とは異なり健康保険がきかず、患者の全額自己負担となる。その使用割合が増えることが国の医療費抑制につながるとして、政府は2007年(平成19)から候補となる医療成分を事前に公表する制度を導入し、医薬品メーカーのスイッチOTC薬開発を後押ししている。しかし候補になりながら「副作用の恐れがある」「医師が処方する医療用医薬品と競合する」などの理由で、厚生労働省了承が見送りになるケースも多い。

[編集部]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

脂質異常症治療薬

血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...

脂質異常症治療薬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android