スウェイト(読み)すうぇいと(英語表記)Anthony Simon Thwaite

日本大百科全書(ニッポニカ) 「スウェイト」の意味・わかりやすい解説

スウェイト
すうぇいと
Anthony Simon Thwaite
(1930―2021)

イギリスの詩人批評家。オックスフォード大学卒業後、1955年から1957年まで東京大学講師。帰国後、BBCプロデューサー、『リスナー』誌、『ニュー・ステーツマン』誌文芸編集者を経て、1973年から1985年まで『エンカウンター』誌副主筆、のちアンドレ・ドイッチ社編集顧問を務めた。この間、リビアクウェートでも教鞭(きょうべん)をとる。明晰(めいせき)で犀利(さいり)な文体、温雅な感性と知性均衡のとれた作風を特徴とする。『つつましい真実』(1957)など7冊の詩集は、『全詩集 1953―1983』(1984)にまとめられたが、なかでもブラウニングの劇的独白に影響を受けた『ビクトリア朝の声』(1980)は注目すべき作品である。また『東京からの手紙』(1987)のなかでは、夏目漱石(そうせき)、小泉八雲(やくも)に仮託した独白体を中心とする一連の詩を試み、日英二つの文化に身を置いた精神を解明している。ほかに『現代イギリス詩』(1957)など4冊の批評書がある。夫人アンAnn(1932― )は『エドマンド・ゴス伝』(1984)など評伝の作家として著名。

[出淵 博]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「スウェイト」の意味・わかりやすい解説

スウェイト
Thwaite, Anthony Simon

[生]1930.6.23. チェスター
イギリスの詩人,批評家。オックスフォード大学卒業。詩集『木の中の梟』 The Owl in the Tree (1963) ,『新しい告白』 New Confessions (74) のほか,『現代英詩入門』 Contemporary English Poetry: An Introduction (59) ,和歌俳句翻訳 (64) ,詞華集編纂 (70) などがある。雑誌『ニュー・ステーツマン』『エンカウンター』を編集,また 1955~57年東京大学で英文学を講じた。

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