スカンク(英語表記)skunk

翻訳|skunk

デジタル大辞泉 「スカンク」の意味・読み・例文・類語

スカンク(skunk)

イタチ科スカンク亜科の哺乳類の総称。猫大で、尾がふさふさしている。体は黒色だが白の警戒色をもち、身を守るとき、逆立ちして肛門腺から悪臭の強烈な液体を出す。動作は遅く、昆虫などを捕食する。南・北アメリカに分布。シマスカンクマダラスカンクなど。
スコンク
[類語]いたちおこじょフェレットてんミンク穴熊

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精選版 日本国語大辞典 「スカンク」の意味・読み・例文・類語

スカンク

〘名〙 (skunk) イタチ科スカンク亜科の哺乳類の総称。体長二〇~五〇センチメートル、尾長は同じかやや短い。体形はイタチ科としては太くずんぐりしている。体毛は長くふさふさとし、体色は一般に黒色で、よく目立つ白い紋様がある。尾は房状で、白毛まだらの長毛がある。外敵を防ぐため、肛門(こうもん)付近の肛門腺からきわめて悪臭の強い黄色の液を飛ばす。平原や森林また人家近くにもすみ、夜、カエルネズミ、昆虫などを捕食するほか、果実なども食べる。北・中央アメリカに分布。毛皮は防寒用。他に背の白いセジロスカンク、体に白い斑点があり小形のマダラスカンクなど三属九種がある。〔舶来語便覧(1912)〕

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改訂新版 世界大百科事典 「スカンク」の意味・わかりやすい解説

スカンク
skunk

食肉目イタチ科スカンク亜科Mephitinaeに属する3属9種の哺乳類の総称。黒色の地に白斑,あるいは白縞模様をもち,肛門腺から強烈な悪臭のある黄色の油状の分泌液を放出する獣として知られる。体はイタチ科の動物としてはずんぐりとしていて比較的太く,頭は小さく鼻先がとがる。四肢と尾は比較的長い。頭部を除き,体毛,とくに尾の毛は長い。肛門の両側に1対ある肛門腺は,袋状によく発達して,周囲の筋肉の働きで分泌液を放出する。液は皮膚に付着した場合には容易に洗い落とすことができ,特別な障害を起こさないが,目に入ると激痛と一時的な視力の消失をもたらす。イヌ,クマ,ピューマなどの天敵にも同様の効果がある。また,衣服に付着すると,使用に耐えなくなるといわれる。においの主成分はメルカプタン,とくにブチルメルカプタンC4H9SHである。悪臭は天敵からの護身に役だち,白色と黒色の目だつ体色は警告色としての効果をもつものと考えられる。事実,上記の哺乳類の捕食者は,一度スカンクの悪臭を経験すると以後スカンクを避けるようになり,スカンクのほうは捕食者がごく近くに接近するまで避けようとしない。ただし,ワシ,フクロウなどの猛禽類には効果がない。

 北アメリカ,中央アメリカ,南アメリカの砂漠,草原,耕地,森林など人家付近を含めて至るところにすみ,雑食性で,はちみつを含む昆虫,トカゲ毒ヘビを含むヘビ類,鳥類,小哺乳類,果実などを食べる。地中に掘った穴や人家の床下などをすみ家とし,交尾期は,北アメリカではおもに2~3月,南アメリカではおもに1月。妊娠期間は種によって大きく異なり,マダラスカンクでは120日,シマスカンクでは61~64日,ブタバナスカンクでは42日である。雌は4~10子を生む。子は45~50日で巣を離れ,母親について歩くようになり,次の繁殖期までともに過ごす。寿命は飼育下で8~10年。

 主要種は次の4種である。(1)シマスカンクMephitis mephitis 体長39~41cm,尾長18~39cm。黒色の地に,体側に尾の基部に発する白色の縞があり,首または後頭部で左右の体側の縞があわさって1本になる。カナダからメキシコ北部に分布する。(2)セジロスカンクM.macroura シマスカンクに似るが,尾が長く,白い。体長27~35cm,尾長27~44cm。体側に明りょうに2本に分かれた白色の縞がある。アメリカ合衆国南部から中央アメリカに分布する。(3)マダラスカンクSpilogale putorius 黒地に白斑がある小型スカンク。体長11~35cm,尾長7~22cm。敵に襲われると逆立ちして警告する。カナダ南部から中央アメリカに分布する。(4)ブタバナスカンクConepatus mesoleucus(=S.pygmaea) 背中が白色の大型のスカンク。体長36~49cm,尾長27~41cm。鼻がブタに似て,幅広く,長く,裸出する。アメリカ合衆国から中央アメリカに分布する。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「スカンク」の意味・わかりやすい解説

スカンク
すかんく
skunk

哺乳(ほにゅう)綱食肉目イタチ科スカンク亜科に属する動物の総称。シマスカンク属Mephitis2種、マダラスカンク属Spilogale4種、ブタバナスカンク属Conepatus7種の3属13種を含む。すべて南・北アメリカ大陸産で、ネコぐらいの大きさでふさふさした尾をもつ。体色は黒ないし黒褐色であるが、白の帯や斑(はん)をもつものが多い。

 生態はいずれも共通していて、森林や草原にすみ、どちらかというと明るく開けた環境を好み、密林にはいない。家屋の近くへも姿を現す。夜行性で、ネズミやウサギ、小鳥やカメの卵、昆虫などのほか、植物性の餌(えさ)も食べる。毒ヘビに対しても抵抗性が強く、平気で攻撃し、餌とする。自分でも巣穴を掘るが、マーモットやウサギ、アルマジロなどの穴も利用する。このとき、先住者がいても攻撃せずに、共有する形で入り込んでしまうといわれている。スカンクどうしが一つの巣穴を共有することもある。北アメリカでの交尾期は2~3月、南アメリカでは8月ごろで、この時期の雄はむやみに歩き回り、気が荒くなって人間や家畜にかみついたりもする。妊娠期間はシマスカンク60日余り、マダラスカンク120日、ブタバナスカンク42日で、2~10頭の子を産む。生まれたばかりの子は閉眼で毛も生えていないが、縞(しま)や斑の模様は判別できる。6~8週間後になると、子は雌親に連れられて巣穴から出てきて自分で餌をとり、雌親が次の発情期に入ると親から離れる。飼育下の寿命は10年。

 イタチ科の動物は肛門(こうもん)付近に大きな分泌腺(ぶんぴつせん)をもち、悪臭のある物質を出すが、スカンクはとくに有名である。スカンクでは分泌腺が大きく発達しているだけでなく、管の一部が膨らんで腔(こう)となっていて、分泌物を蓄え一度に発射することができる。このときスカンクは前足だけで逆立ちし、肛門を敵に向けて、顔をねらって発射する。液は4、5メートル飛び、敵の目に入ると一時的に盲目にする。主成分はブチルメルカプタンで、化学構造はアルコールに似ているが、酸素のかわりに硫黄(いおう)を含んだ物質である。ニンニク、ゴムや毛を焼いたにおい、二硫化炭素のにおいなどを混ぜたような悪臭で、1キロメートル以上も漂うという。皮膚に直接についた分泌物は洗い落とせるが、衣服についた場合はなかなかとれず、その衣服を捨てねばならないことが多い。スカンクはこの分泌物を数度続けて発射することができるが、あとになるほど量も少なく、においも弱い。スカンクの黒白の毛模様と独特の発射姿勢は敵に警戒を与えるのに役だっており、コヨーテやピューマはたいていの場合その姿勢を見ただけで逃走する。動物園などで飼育する際は手術で肛門腺を除去する。

[朝日 稔]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「スカンク」の意味・わかりやすい解説

スカンク
Mephitinae; skunk

食肉目イタチ科スカンク亜科の動物の総称。危険を感じると悪臭を放つ。体長 15~40cm。後頭部から尾までの上面が白色のセジロスカンク Mephitis macroura,黒白のまだら模様のあるマダラスカンク Spilogale putoriusなど約 10種がある。体はがんじょうで,尾は長く,ふさふさした毛をもつ。肛門のまわりに肛門腺がよく発達し,敵に向って悪臭のある黄色の液を発射する。その悪臭は 1km離れても臭うという。飼いやすく,ペットになるが,飼育するときは肛門腺をえぐり出してしまう。雑食性。アメリカ,カナダに分布し,森林,草原,砂漠,人家付近などあらゆる環境にすんでいる。

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百科事典マイペディア 「スカンク」の意味・わかりやすい解説

スカンク

食肉目イタチ科の哺乳(ほにゅう)類9種の総称。代表的なシマスカンクは体長40cmほど。体は黒色で,背中に美しい2白条が走り後頭部で1本になる。尾は長く,房状。カナダからメキシコ北部に分布。平原にすみ,夜出てカエル,ネズミ,鳥,昆虫などを食べる。敵に襲われると肛門腺から強烈な悪臭のある黄色い液(主成分メルカプタン)を5mも射出する。寒い地方では冬眠する。毛皮は優良。他に小型で逆立ちして脅しの姿勢をとるマダラスカンク,シマスカンクに似るが尾が長く白いセジロスカンクなどがいる。

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