日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
スタンリー(Wendell Meredith Stanley)
すたんりー
Wendell Meredith Stanley
(1904―1971)
アメリカの生化学者。1946年ノーベル化学賞受賞(酵素とウイルスのタンパク質の純粋調整によりJ・H・ノースロップとともに、また、酵素が結晶化されることを発見したJ・B・サムナーとの同時受賞)。タバコの葉にモザイク病をおこす病原ウイルス(TMV)を結晶体として取り出すことに成功した(1935)。結晶する化学物質が、生物のように増殖し病気をおこすというので、当時の学界に大きな衝撃を与えた。また、早くから、癌(がん)のウイルス学的研究の重要性を指摘し続けた。1950年代なかばに、学界の大勢に抗して、これを主張するのは、非常に勇気の要ることであった。
1929年イリノイ大学卒業。同大化学研究所からミュンヘン大学に留学、帰国後ロックフェラー研究所に入った(1932)。1948年カリフォルニア大学に移り、同大にウイルス研究所を創設、その所長となる。1965年(昭和40)第9回国際癌学会議(東京)に来日。日本学士院客員(1968)。大学時代はフットボールの選手として活躍した。
[梅田敏郎]
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