スナネズミ(読み)すなねずみ(英語表記)Mongolian gerbil

改訂新版 世界大百科事典 「スナネズミ」の意味・わかりやすい解説

スナネズミ (砂鼠)
Mongolian gerbil
Mongolian jird
Meriones unguiculatus

外形カンガルーネズミに似た齧歯(げつし)目ネズミ科スナネズミ亜科の哺乳類モンゴルと中国北部の乾燥地に分布体長11~13cm,尾長9~10cm。目が大きく,耳介が短く,後脚は比較的長く,つめ黒色で長い。体は砂色で,腹面は灰白色。尾は裸出せず,毛で密に覆われる。砂漠草原,低木林にすみ,トンネルを掘り巣とする。昼夜とも活動し,種子,葉,根などを食べ,貯蔵もし,冬眠する。妊娠期間25~29日,1産3~4子で,年に数回出産する。寿命は約5年半。1950年代にアメリカで実験動物化に成功し,近年日本でも一般的になった。広義には同属の種(13種)の総称で,インド,アラビアサハラなどの乾燥地帯に分布。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「スナネズミ」の意味・わかりやすい解説

スナネズミ
すなねずみ / 砂鼠
Mongolian gerbil
[学] Meriones unguiculatus

哺乳(ほにゅう)綱齧歯(げっし)目キヌゲネズミ科の動物。モンゴル、中国北部に分布する。頭胴長11~12センチメートル、尾長8~10センチメートル、体重60~80グラム。尾の先端は房状である。気温変動の激しい砂漠地帯、草原にすみ、45日以上も水なしで生活することができる。草の種子、葉、根などを食べ、貯食習性も発達している。また、食糞(しょくふん)の習性もあり、これによりビタミンB類を補っている。夜行性で、跳躍によって移動するのは、砂漠地帯にすむネズミに共通の特徴の一つである。冬眠する。妊娠期間は25日で、1産4、5子を産む。

 本種は実験動物化され、コレステロール代謝、内分泌、癌(がん)、細菌学など広い分野の研究に用いられている。とくに、てんかん様の発作をおこすことから、脳神経学の分野で貴重な実験動物となる。

 スナネズミの仲間は、アフリカとアジアの砂漠や半砂漠地帯に多くの属・種がみられる。また、アフリカ南部では腺(せん)ペスト保菌者となっている。

[宮尾嶽雄]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「スナネズミ」の意味・わかりやすい解説

スナネズミ
Meriones unguiculatus; Mongolian gerbil

齧歯目キヌゲネズミ科アレチネズミ亜科スナネズミ属に属する動物。1属1種。体長 11~12cm,尾長8~10cm。耳や眼が大きく,尾は毛が密生し先端は房状。体は淡黄褐色。気温変化の激しい砂漠やステップ地帯にすむ。地下にトンネルを堀り,複数の雄と雌から成る集団が共同生活している。植物の種子,葉,根などを食べ,貯食の習慣をもつ。また,糞食によりビタミンB類を補給すること,45日以上水なしで生存できることが知られている。夜行性。冬眠する。生後 70~80日で性成熟に達し,24~26日間の妊娠期間を経て4~5頭の子を生む。モンゴル,中国北部,シベリア南部に分布。性格は温和でヒトに馴れやすく,飼育しやすい。日本では 1960年代から実験動物として用いられ,コレステロール代謝やヒトの自然発生てんかんモデルなどに有用性が認められる。愛らしい容貌からペット需要もある。

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世界大百科事典(旧版)内のスナネズミの言及

【スナネコ(砂猫)】より

…乾いた荒地にすみ,日中は浅い穴に潜む。夜出てスナネズミやトビネズミなどを捕食する。ふつう3~4月に2~4子を生む。…

※「スナネズミ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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