スミレ(菫)(読み)スミレ(英語表記)Viola; violet

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「スミレ(菫)」の意味・わかりやすい解説

スミレ(菫)
スミレ
Viola; violet

スミレ科スミレ属の植物の総称で,ほぼ世界の全域に自生し約 500種がある。きわめてまれには木本性のスミレも知られる (アンデス地方やハワイ) 。花は特徴ある左右相称形で5弁の花弁のうち唇弁が大きく,その後尾は筒形の距をつくる。日本には約 50種の自生が知られ,花の美しいものが多い。観賞用にはヨーロッパ原産のニオイスミレ (匂菫)サンシキスミレ (三色菫)が普通に栽培される。単にスミレの名で1つの種を呼ぶ場合は次の種をさす。スミレ V. mandshuricaスミレ科の多年草。東アジアの温帯各地に分布し,日本でも全土野原土手路傍などに普通にみられる。葉は多数根生し,翼のある長い柄があって葉身は長さ4~8cmの三角形状の披針形。先は鈍く縁に浅い鋸歯がある。春,葉とほぼ同じ高さの花茎を伸ばし,その先に左右相称の濃紫色の花を横向きにつける。5枚の花弁のうち唇弁の基部は伸びて円柱形の距となる。花後に長楕円形の 蒴果を結ぶ。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

黄砂

中国のゴビ砂漠などの砂がジェット気流に乗って日本へ飛来したとみられる黄色の砂。西日本に多く,九州西岸では年間 10日ぐらい,東岸では2日ぐらい降る。大陸砂漠の砂嵐の盛んな春に多いが,まれに冬にも起る。...

黄砂の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android