スモン訴訟(読み)スモンそしょう

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「スモン訴訟」の意味・わかりやすい解説

スモン訴訟
スモンそしょう

キノホルム剤の使用によって下半身まひを伴う神経炎 (スモン病) にかかった患者らが製薬会社ならびに危険防止責任を持つとして,国を相手どって起こした集団訴訟。水俣病事件,カネミ油症事件,サリドマイド薬害事件と例を同じくする大規模集団訴訟であった。被害者グループの分裂によって訴訟は複数に分かれる形で進行したが,裁判所の和解勧告に従い,双方の和解が成立したものと,判決によって企業と国の責任が認められたものとがある。この事件をうけて 1979年に薬事法が大改正され,薬害防止のための諸規定が盛り込まれた。

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世界大百科事典(旧版)内のスモン訴訟の言及

【スモン】より

…とくに頑固な感覚障害は,後遺症として存続し長く患者を苦しめる。キノホルム【水沢 英洋】
[スモン訴訟事件]
 スモンは,キノホルムによってひき起こされた薬害である。1971年5月,2人のスモン患者が,キノホルム製剤を製造・輸入・販売した製薬会社と,その製造などを承認した国とを被告として,東京地方裁判所に損害賠償請求の訴訟を提起した。…

【薬害】より

…けれども,この事件を契機として諸外国においては薬事関係法の改正など,薬事行政の抜本的見直しが行われたのに対して,日本では,行政指導によって対応措置がとられたにすぎなかった。 しかし,スモン訴訟などの諸判決で薬事法制の欠陥が厳しく指摘され,政府も法律改正に取り組まざるをえなくなり,1979年に薬事法の大改正が行われた。薬事法の目的として医薬品の安全性確保がうたわれ(1条),安全確保のための措置が法定された。…

【薬事法】より

…薬事法は,〈医薬品,医薬部外品,化粧品及び医療用具に関する事項を規制し,もつてこれらの品質,有効性及び安全性を確保することを目的〉(1条)として制定されたものである。日本の薬事法規は,1874年の〈医制〉により制度的基礎が据えられたが,その後89年に〈薬品営業並薬品取扱規則〉が定められ,さらに1914年の売薬法,25年の薬剤師法とをあわせて43年にはじめて薬事法という形をとるに至った。第2次大戦後48年に新しい薬事法が制定されたが,現在の薬事法は60年に改めて制定されたものである。…

※「スモン訴訟」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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