セバスティアン(待望王)(読み)セバスティアン[たいぼうおう](英語表記)Sebastião, o Desejado

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説

セバスティアン(待望王)
セバスティアン[たいぼうおう]
Sebastião, o Desejado

[生]1554.1.20. リスボン
[没]1578.8.4. モロッコ,アルカッセルキビル
ポルトガル王 (在位 1557~78) 。ポルトガル王位継承者ドン・ジョアンとスペイン王カルロス1世 (神聖ローマ皇帝カルル5世) の娘フアナ・デ・アウストリアの子。スペイン王フェリペ2世の甥。父の死後 20日目に生れ,3歳にして祖父王ジョアン3世 (敬虔王)の跡を継いだ。祖母でカルロス1世の妹カタリナの摂政下にマドリード宮廷の影響を強く受けた。親政 (68) 後,狂信的な十字軍精神からジョアン3世が財政負担の軽減のため徐々に撤退してきたモロッコの再征服を企図したが,1578年アルカッセルキビルの戦いで大敗し,みずからも 24歳の若さで戦死した。嗣子なく,2年後ポルトガル王位は叔父にあたるスペイン王フェリペ2世の手に渡り (ポルトガル王フェリペ1世として即位) ,以後 60年間ポルトガルは独立を失った。のちにその悲劇的な死に対して生存説が流布し,1640年の再独立の際のポルトガルの抵抗を示す「セバスティアニズム」を生んだ。

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