ゼニゴケ(銭苔)(読み)ゼニゴケ(英語表記)Marchantia polymorpha

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ゼニゴケ(銭苔)」の意味・わかりやすい解説

ゼニゴケ(銭苔)
ゼニゴケ
Marchantia polymorpha

タイ類ゼニゴケ科の1種。陰湿な地,家屋の北側の空地のような場所に生える。葉状体は二叉状に分岐し,腹面に仮根があり,表面には網目とその中央に1個ずつの小穴とがみられる。この小穴は気孔口で4個の孔辺細胞から成っている。この網目と孔口の形が,穴あき銭を並べたようなので,ゼニゴケの名がある。雌雄異株雌株雌器托,雄株に雄器托を生じる。雌器托は 10本前後の指状の突起ができ,その股の下部にある2枚の包膜の間に数個の造卵器ができる。雄器托は有柄の円板状で,その上面に放射状に多数の小穴ができ,そのおのおのに1個ずつの造精器ができる。造精器が成熟する頃,雨などの水分によって精虫が表面に流れ出し,雌器托の浸出物質に導かれて,造卵器内で受精する。やがて 蒴ができ,蒴柄が伸びて包膜の外に出,胞子が外に出る。胞子とともに生じた螺旋状弾糸が,乾湿の変化に応じてこれを助けるようになっている。なお,これらの生殖法のほかに,葉状体にはしばしば杯状体の器官を生じ,その中に無性芽ができ,それによっても繁殖する。

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