ソーダ雲母(読み)そーだうんも(英語表記)paragonite

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ソーダ雲母」の意味・わかりやすい解説

ソーダ雲母
そーだうんも
paragonite

雲母一種で、外観は白(しろ)雲母に酷似するため、肉眼での区別はできない。この鉱物結晶片岩片麻岩中に産する。ひすい輝石を伴う曹長岩中に、鋼玉(コランダム)と共生して淡紅色の結晶を産する例が兵庫県養父(やぶ)市大屋町(おおやちょう)地区にある。普通、微細な鱗片(りんぺん)状結晶が多いなかで、ここのものは世界的な巨晶である。ほかに堆積(たいせき)岩の構成鉱物の一つとして産する。原標本が滑石と見誤られていたところから、英名は迷わすという意味のギリシア語に由来している。和名は化学成分による。

松原 聰]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ソーダ雲母」の意味・わかりやすい解説

ソーダ雲母
ソーダうんも
paragonite

パラゴナイトともいう。 Na2Al4(Si6Al2)O20(OH,F)4ナトリウムを含む雲母で,少量の白雲母が入る。細鱗状の集合体白色比重 2.8内外,硬度 2.5。結晶片岩,千枚岩,雲母片麻岩に産する。従来白雲母と誤認されていた鉱物で,数百度でソーダ雲母とカリ正長石を熱すると,白雲母と曹長石 (ソーダ長石) に変る。

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世界大百科事典(旧版)内のソーダ雲母の言及

【雲母】より

…層間にCaなど2価の陽イオンの入ったものはゼイ(脆)雲母と呼ばれている。
[おもな種類と理想化した化学組成]
(1)二・八面体雲母 白雲母muscovite KAl2(Si3Al)O10(OH)2 ソーダ雲母paragonite(ナトリウム雲母,パラゴナイトとも呼ぶ)NaAl2(Si3Al)O10(OH)2(2)三・八面体雲母 金雲母phlogopite KMg3(Si3Al)O10(OH)2 黒雲母biotite K(Fe,Mg)3(Si3Al)O10(OH)2 アナイトannite KFe3(Si3Al)O10(OH)2 イーストン石eastonite  KMg2.5Al0.5(Si2.5Al1.5)O10(OH)2 シデロフィライトsiderophyllite  KFe2.5Al0.5(Si,Al)O10(OH,F)2 鱗雲母lepidolite(紅雲母,リシア雲母,レピドライトとも呼ぶ)KLi2AlSi4O10F2からK(Li,Al)2.5(Si,Al)(OH,F)2
[結晶学的および鉱物学的性質]
 雲母は平板状にわれやすく,六角板状に近い外形を示すが,他の結晶面はあまり発達しない。また双晶していることが多い。…

※「ソーダ雲母」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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